【天皇賞・秋】イクイノックス1強…とは言わせない!ジャックドール ツンデレ貴公子がつなぐ親子の物語

2023年10月25日 05:30

好仕上がりを見せるジャックドール

 今週末は「第168回天皇賞・秋」(29日、東京)。牡牝3冠が終わり、ついに古馬の一線級たちがターフに戻ってくる。秋のG1新企画「馬(バ)チェラー」では前線記者が買いたい馬の魅力をアピールして「真実の馬券」に迫る。栗東トレセンでは寺下厚司が単騎逃げ濃厚のジャックドールをプッシュ。春のG1大阪杯は昨年5着からのリベンジVに成功した。昨年4着だった当レースでも再現を期待できる。 

 栗毛の貴公子、ジャックドールは敗れても必ず立ち上がる。5連勝で昨年の金鯱賞を制覇。G1初挑戦だった大阪杯は5着に敗れ、1年前の天皇賞・秋も4着。大舞台でワンパンチ足りなかったが、今年初戦の大阪杯で見事、リベンジに成功。G1初制覇を飾った。

 連覇を狙った前走の札幌記念は1番人気を背負うも6着。藤岡師は「今年の北海道は暑かったし、その影響もあったのかな。動きがもう一つのところもあった。それに直前で雨が降って上位に来た馬は道悪が上手だからね」と敗因を振り返る。

 その後は放牧を挟み、反撃ムードが漂う。「帰ってきてからはバランスが良くて、状態もいい」と指揮官。その言葉通り、1週前追いはコンビ復活の藤岡佑を背にCWコースでパワフルな動きを見せた。ヴァンケドミンゴ(7歳オープン)の4馬身後方で我慢させ、直線は内から力強く伸びて2馬身先着。ラスト1F(200メートル)の11秒1は同じ日の最速タイだった。師は「素晴らしい。1週前としては文句なしの動き。昨年の天皇賞当時より明らかにいい」と太鼓判を押す。

 父モーリスは16年に安田記念→札幌記念で連続2着に敗れた後、当レースを制した。同じローテ(5着→6着)で父子制覇がかかる。父譲りのグッドルッキングホースは1歳時に19年北海道セレクションセールで3456万円で落札された。指揮官は「馬っぷり、バランスが良くて、めちゃくちゃいい馬だった。なかなかこれだけいい馬は出てこないので、オーナー(前原敏行氏)にお願いした」と出合いを振り返る。

 1年前の当レースは快速パンサラッサの大逃げで好位に控える形。それでも勝ったイクイノックスとは0秒3差の4着に踏ん張った。今年はメンバー的にも単騎逃げが濃厚。指揮官も「ほっといてほしいね(笑い)。自分の形で行ければと思う」。今年の大阪杯のように先手を奪って逃げれば持ち味の粘りは倍増。「昨年もそんなに負けていないし流れ一つだと思う。リベンジしたいね」。その1年前以来となる師の息子・佑介との親子タッグで雪辱Vだ。 

 《モーリス産駒の得意コース》ジャックドールの父モーリスは16年天皇賞・秋を制しており、71年トウメイ&78年テンメイ、70年メジロアサマ&82年メジロティターン、99年スペシャルウィーク&10年ブエナビスタ、17年キタサンブラック&22年イクイノックスに続く史上5組目の親子制覇が懸かる。同産駒は20年以降、東京芝2000メートルで【11・8・4・28】と勝率21・6%、連対率37・3%、複勝率45・1%。この舞台は相性の良さが光る。

 《近5年目立つ「逃げて好走」》天皇賞・秋が2000メートル戦になった1984年以降、逃げ切りは87年のニッポーテイオーのみ(91年に逃げていたプレクラスニーはメジロマックイーンにかわされ2位で入線したが、メジロマックイーンが降着となったため1着となった)。逃げ馬にとっては過酷な舞台ではあるが、近5年で逃げた馬は18年キセキ3着(6番人気)→アエロリット3着(6)→ダノンプレミアム4着(6)→カイザーミノル14着(11)→パンサラッサ2着(7)と伏兵の好走例も多数ある。

 ▽22年天皇賞・秋 パンサラッサの大逃げ。軽快に飛ばし、前半1000メートル57秒4のハイラップを刻んだ。セーフティーリードを保ったまま直線へ。そのまま逃げ切りを図ったが残り200メートルから1番人気イクイノックスがグイグイ脚を伸ばし、ゴール前できっちり捉えた。ジャックドールは好位から粘り強く4着。

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