【安田記念】蛯名正師 レッドモンレーヴの爆発力引き出す!恩師から託された愛馬でG1獲る
2024年5月31日 05:27 開業3年目の蛯名正義調教師(55)が2年連続で安田記念にレッドモンレーヴを送り出す。22年2月の引退(定年)まで管理していた藤沢和雄元調教師から託された良血馬。新刊「調教師になったトップ・ジョッキー」(小学館新書)を著したばかりの“エビショー先生”を元藤沢番の梅崎晴光記者が直撃した。
――昨年(6着)同様、京王杯SCをステップにしての安田記念出走。「10回の調教より1回の実戦」とは藤沢師匠の名言だが、ここまでは思惑通り?
「休み明けの前走(京王杯SC)も調教量的には凄くやっていたが、1度競馬をすることでいろいろな面が変わってくるもの。使った分だけ良くなっている。昨秋に比べると、今春はかなり機嫌良く(放牧から)帰ってきた。その延長線上でここまでいい雰囲気で来ている」
――前走は鼻差2着とはいえ、11秒台前半のラップが続く速い上がりを追い込んだ。
「道中スローとはいえ、東京であんな脚を使う馬はなかなかいない。直線で並びかけていく時の脚はもの凄かった。自分の中では勝ったと思っている。賞金は随分違うけど(笑い)。あれだけのタイムで走ったのだから褒めてあげないと」
――エアグルーヴの孫にあたる血統だが、気難しいそうで昨秋は馬場に行くのも嫌がるほど機嫌が悪かったとか。
「日々スタッフといろいろ工夫をしてきた。弱過ぎず強過ぎず。自由放任では駄目だが、きつ過ぎても駄目」
――新刊本には「人間の言うことを全部聞かせちゃったら走らせたい時に火がつかなくなっちゃう」と書いている。
「それはレッドモンレーヴにも言えること。危うさがあるから爆発力もあるのかもしれない。気持ちが消えないようにやってきた」
――4年近く研修した藤沢和厩舎から引き継ぐ形で転厩した。新刊本には「丈夫な馬をつくるという藤沢先生の考え方を継承する」と書いている。
「レッドモンレーヴもずっと見てきて難しいところも分かっていた。若いうちはあまり丈夫でなかったから無理させずに、まずは放牧して丈夫になるのを待った。今ではある程度調教にも耐えられるようになっているし、昨春より体もしっかりしてきた。切れ味にも磨きがかかっている」
――G1でも通用する切れ味?
「そう思って常に接している。しまいの切れ味が大きな武器だから本番に行ってもあまり小細工はいらないと思う」
◇蛯名 正義(えびな・まさよし)1969年(昭44)3月19日生まれ、北海道出身の55歳。87年騎手デビュー。96年天皇賞・秋(バブルガムフェロー)でG1初制覇を飾った。21年2月いっぱいで騎手引退。通算2万1183戦2541勝。JRA・G1・26勝。22年3月1日付で美浦に厩舎を開業。通算368戦36勝。血液型A。