【宝塚記念】メイショウタバル逃走V!武豊“絶妙タクト”で歴代最多5勝目「縁を凄く感じる勝利」

2025年6月16日 05:30

<阪神11R・宝塚記念> メイショウタバルで勝利しガッツポーズの武豊騎手 (撮影・亀井 直樹) 

 人馬一体の逃走劇でG1奪取だ。暑熱&梅雨の影響を考慮し、開催が2週繰り上がったサマーグランプリ「第66回宝塚記念」は15日、阪神競馬場で行われ、ドバイ遠征明けの7番人気メイショウタバルが絶妙なペース配分で3馬身差の逃げ切りV。武豊(56)は当レース5勝目、元騎手の石橋守師(58)はG1初制覇となった。ファン投票1位の1番人気ベラジオオペラが2着。昨年暮れの有馬記念を制した後、右前第1指骨剥離骨折が判明し、ここが復帰戦の2番人気レガレイラは11着に敗れた。

 競馬界の主役が上半期を奇麗に締めくくった。巧みな手綱さばきでメイショウタバルをグランプリホースに導いた武豊。ゴール入線後は力強く左手を上げ、喜びを爆発させた。「本当に最高にうれしいですね。涙が出そうなぐらいうれしかった。競馬の素晴らしさを改めて感じました。たまにはこういう馬が勝つのもいいんじゃないでしょうか」とすがすがしい表情で語る。“ユタカ・コール”が響き渡ったウイニングランは大勢のファンが見守るスタンドに向け、何度も何度も手を上げて応えた。

 少し左に飛び出るようなスタートダッシュだったが、すぐに立て直すと難なくハナを奪った。最初のコーナーの入りは少し行きたがる面があったものの、なだめながら向正面で折り合いがついた。前半1000メートル通過は59秒1。「これ以上、速くしたくはなかったし、スローにもしたくなかった。いい感じで折り合いがついて、ちょうどいいペースで行けました」。自分のリズムで運べたことで息が入った。4角手前で勝負に出たファン投票1位のベラジオオペラが差を詰めてくる。それでも手応えはこちらが優勢。内ラチ沿いをピッタリ回った直線は鞍上の気合が乗った左ステッキに応え、グイッとひと伸び。最初から最後まで先頭を守り切り、後続に3馬身差でG1初制覇を飾った。「3角の入りが良かったし、リラックスしてくれたのが良かった。4角を回る時の手応えが良かったので何とか押し切ってくれ、と思っていた。タフなレースだったので最後の最後まで分からなかった」と振り返る。

 検量室前では松本好雄オーナー、石橋師と喜びを分かち合った。この3人は名馬メイショウサムソンで深い縁がある。当時、騎手だった石橋師が06年皐月賞、ダービー、07年天皇賞・春、武豊とのタッグで天皇賞・秋を制した。だが、宝塚記念は07年(石橋師)、08年(武豊)と続けて2着。武豊は「いろんな思いがありました。3人のつながりをファンの方々も分かっていると思うので。メイショウの馬で、石橋調教師の馬で、ということで勝ちたい気持ちは凄く強かった」と心境を明かした上で「人がつないでくれた馬の縁、馬がつないでくれた人の縁を凄く感じる勝利。格別です」と松本オーナーの座右の銘(人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる)を引き合いに出して喜んだ。

 06年ディープインパクト以来、5度目の宝塚記念制覇で自身の持つ最多勝利記録を更新した。メイショウタバルとは前走ドバイターフ5着に続き、2度目のコンビ。影をも踏ませぬ逃走劇で「G1ホースになったので今後の選択肢が広がったと思います」と期待十分。充実期を迎えた快速馬が中距離界をリードしていく。

 ◆メイショウタバル 父ゴールドシップ 母メイショウツバクロ(母の父フレンチデピュティ)21年4月20日生まれ 牡4歳 栗東・石橋厩舎所属 馬主・松本好雄氏 生産者・北海道浦河町の三嶋牧場 戦績11戦5勝(重賞3勝目) 総獲得賞金4億4164万6600円 馬名は冠名+熊本県の地名。

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