【宝塚記念】池江泰郎氏 胸に染みる武豊の勝利騎手インタビュー

2025年6月16日 05:26

<阪神11R・宝塚記念> インタビュー後にポーズを決める武豊騎手 (撮影・亀井 直樹) 

 【池江泰郎 匠の解説】武豊君は表彰式後のインタビューで感謝の気持ちを「人がつないでくれた馬の縁、馬がつないでくれた人の縁」と胸に染みる言葉で表現した。競馬に従事する全ての人が同じ気持ちなので、すてきな言葉を述べてくれたと思う。なるほど父親の武邦彦さんの時代から付き合いのある「メイショウ」の冠名で、ましてや管理調教師の石橋師は騎手時代にメイショウサムソンで皐月賞、ダービー、天皇賞・春を制し、同馬は途中から豊君にバトンタッチしている。人の縁、馬の縁はメイショウタバルの陣営にとって、時代を経ても胸に去来する出来事が凝縮していたのだ。

 ふと思い出すのはメイショウドトウが宝塚記念を勝った01年で、当時もドラマチックだったことを覚えている。G1で惜敗を重ね、ついに宿敵のテイエムオペラオーを倒した一戦。表彰式に向かう松本好雄オーナーが感無量の表情だったのを、なぜ私が目にしていたか?というと管理馬のステイゴールドが出走(4着)していたからで、あの時は調教師(安田伊佐夫)と騎手(安田康彦)の親子の絆が感動的だった。

 私は調教師時代にメイショウの冠名と太い縁はなかったが、人格者である松本好雄オーナーが、馬産地の日高を大事にする姿勢に感服している。改めてオーナー、騎手、調教師を素直に称えたい。素晴らしい宝塚記念の勝利だった。

 レースは回顧の必要もないほどにシンプル。単騎逃げの利があったのがメイショウタバルで、連覇を狙ったベラジオオペラも勝負どころでは直後に張り付いて負かす競馬を試みた。最終4角は人馬がお互いの鼓動を感じるくらいまで接近するも、まだスタミナに余裕があったメイショウタバルが振り切ってみせた。(スポニチ本紙評論家)

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