【オークス】今村聖奈 女性騎手初クラシック騎乗で快挙! ジュウリョクピエロV「夢を見てるみたい」

2026年5月25日 05:29

<オークス>ジョウリョクピエロでレースを制した今村は笑顔でガッツポーズ(撮影・郡司 修)

 3歳牝馬クラシック「第87回オークス」が24日、東京競馬場で行われ、5番人気のジュウリョクピエロが差し切って優勝した。デビュー5年目の今村聖奈(22)は88年オークス(コスモドリーム)の熊沢重文以来2人目となる、日本のクラシック初騎乗初勝利の快挙。JRA所属女性騎手として初のG1ジョッキーとなった。また、今村の師匠で管理する寺島良師(44)もG1初制覇となった。 

 鳴りやまない歓声が、偉業の大きさを物語る。今村がJRA女性騎手として初のG1制覇を決めた。しかも、女性騎手として日本競馬初のクラシック騎乗だった。「ありがとう」と愛馬ジュウリョクピエロに感謝を伝え、幼少期から憧れていた念願のウイニングラン。「夢を見てるみたい。やっぱりジョッキーって素晴らしい」。歴史を塗り替えた。聖奈スマイルが輝いた。

 「彼女のことは一番分かっている」。パートナーの能力を信じて疑わなかった。東京芝2400メートルは初騎乗でも不安はなかった。道中は焦らず後方待機。直線は上がり3F(600メートル)最速タイ33秒1の鬼脚を使い、馬群を縫って力強く伸びた。「私は乗っていただけ。最後は間隔が狭かったけど、馬が導いてくれた」。ルメール、レーン名手2人を従えての戴冠。これが東京での初勝利となった。父・康成さんが01年中山大障害(ユウフヨウホウ)でJ・G1初制覇を飾った時と同じく、拳を突き上げて喜んだ。

 平たんな道のりではなかった。ルーキーイヤーの22年は類を見ない大活躍。CBC賞(テイエムスパーダ)で重賞初騎乗初勝利を成し遂げると、女性騎手最多となる51勝。華々しいデビューを飾った。ただ、翌年からは苦難の連続。23年は前年の半分以下となる25勝にとどまった。

 24年は落馬でのケガの影響もあって、わずか6勝。「自分がなりたかったジョッキー像はこれだったのかな」と悩む日々が続いた。転機は昨夏からの美浦滞在。環境を変えることで、自分を一から見つめ直した。寺島師は「今年に入ってから雰囲気が良くなった。ふっきれた表情をして帰ってきた」と変化を実感。どんなにつらい状況でも自分の弱さと向き合った。そのことが歴史的快挙につながった。

 ジュウリョクピエロは凱旋門賞(10月4日、パリロンシャン)に登録している。トレーナーは「状態を見て、オーナーと相談しながら」と話したが、この1勝で選択肢が広がったことは間違いない。世界をアッと驚かせる日々がやってくるのか。まだまだ底知れぬ人馬が夢の続きを紡いでいく。

 ◇今村 聖奈(いまむら・せいな)2003年(平15)11月28日生まれ、滋賀県出身の22歳。22年3月に栗東・寺島厩舎所属でデビュー、同13日阪神8R(ブラビオ)で初勝利。7月3日のCBC賞(テイエムスパーダ)で重賞初騎乗V。史上5人目となるデビュー年のJRA50勝到達。JRA通算1750戦110勝。重賞2勝目。特技はボールペン字。1メートル58・5、47・4キロ。血液型B。

 ≪樫の舞台で“新時代”の幕開け≫JRA所属の女性騎手が初めて誕生したのは96年。細江純子、牧原由貴子、田村真来の3人がデビュー、牧原が同年3月17日に最速で初勝利を挙げた。翌97年に板倉真由子、押田純子、00年に西原玲奈がデビュー。13年に増沢由貴子(旧姓・牧原)が引退した後は不在となっていたが、16年に藤田菜七子がデビューしたことで3年ぶりに復活。16年ぶりの女性騎手誕生として話題を集め、藤田はキャリア4年目の19年にフェブラリーSでJRA所属女性騎手として初のG1騎乗(コパノキッキング5着)、同年カペラSでJRA重賞初制覇(コパノキッキング)を飾った。現役騎手は21年デビューの永島まなみと古川奈穂、22年の今村聖奈、23年の河原田菜々と小林美駒、25年の谷原柚希の6人となっている。

 ≪元騎手の父・康成さん現地観戦「これをきっかけに飛躍を」≫元騎手で飯田厩舎の助手を務める父・康成さん(47)は、ジュウリョクピエロの勝負服に合わせたネクタイを締め、スタンドで観戦した。「ネクタイは嫁さんのチョイス」と笑いつつ「(聖奈は)ここに懸ける気持ちは強かったから、勝てて良かった。直線は声が出ましたね。大したもんだわ」と娘の勝利に安堵(あんど)の表情を浮かべた。自身が携わったメイショウマンボは13年の勝ち馬。樫での“父子制覇”に「これをきっかけに飛躍してほしい」とさらなる活躍を願った。

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