【ダービー】11年オルフェーヴルV導いた「池添と四位の絆」

2026年5月29日 05:30

11年のダービーを制したオルフェーヴル(右)(撮影・平松 さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】先週のオークスは、今村聖奈騎手が日本人女性騎手として史上初となるJRA・G1制覇を成し遂げた。パートナーはジュウリョクピエロ。父は3冠馬にしてG1・6勝を挙げ12、13年には2年連続で凱旋門賞(G1)2着と世界を沸かせた名馬オルフェーヴルだ。

 そのオルフェーヴルで11年の日本ダービー(G1)を制したのが池添謙一騎手だった。後に池添騎手は、戴冠までの道のりをこう振り返っている。

 「(管理する)池江泰寿調教師からは、ずっと“ダービーで良いから”と言われていました」

 その言葉には、ダービーまでの過程で収穫のある競馬ができればいい、たとえ敗れても乗り替わりはない…。そんな信頼が込められていた。しかし、皐月賞(G1)を制してダービー当日を迎えると、その言葉は逆に大きな重圧となって池添騎手にのしかかった。

 「ダービーで良いから」

 それは裏を返せば“ダービーでは結果を出さなければならない”という意味でもあった。「正直、ダービー前はプレッシャーを感じました」。そう語る池添騎手は、パドックでの出来事を今でも鮮明に覚えている。

 「四位(洋文騎手、現調教師)さんと目が合ったら、黙ってうなずいてくれました」

 2人は皐月賞とダービーの間に食事へ行っていた。その席で池添騎手は、四位騎手に「重圧を感じている」と率直な胸の内を打ち明けていたという。

 「その四位さんのうなずきを見て、凄く心強く感じました。だから、自分もうなずき返しました」

 こうして迎えた本番で、オルフェーヴルは豪快に伸び、世代の頂点へと突き抜けた。

 「口取りを撮って、表彰式を終え、検量室に戻ると、四位さんが待ってくれていました」

 そこで2人は、改めて固く握手した。果たして今週末も、人と人との絆が、栄光へと騎手を導くシーンが見られるだろうか。期待したい。(フリーライター)

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