特異コース適性物語るミッキーアイル産駒ワンツー&史上初“連覇”

2021年9月8日 05:30

 夏競馬最終週の2歳重賞2鞍は、どちらも血統的に興味深い決着となった。

 札幌2歳Sを破格の強さで制したジオグリフは、夏季集中連載で取り上げたルーキーサイヤーのドレフォン産駒。パワー優先の洋芝で見せた馬なりのロングスパートはまさしく、この父の稿で可能性を示唆した「ダートのスピード血脈にとどまらないプラスアルファ」そのものだった。早くもグレードサイヤーの称号を得たドレフォンは、同じ新種牡馬のシルバーステートを抜いて2歳リーディングのトップに躍り出ている。

 小倉2歳Sは昨年のメイケイエールに続いてミッキーアイル産駒のナムラクレアが大外強襲を決めた。同馬の母サンクイーン2はクロノジェネシスの父でもある凱旋門賞馬バゴのいとこ。この母の父ストームキャットとディープインパクトのニックスは、後継種牡馬の代にも確実にリレーされている。2着には内からスリーパーダが浮上し、15年のキンシャサノキセキ産駒(シュウジ、サイモンゼーレ)以来、レース史上2度目の同一種牡馬産駒によるワンツー。史上初の“連覇”との合わせ技は、種牡馬ミッキーアイルの特異なコース適性を物語るものだ。

 ちなみに小倉2歳Sは数あるJRA芝重賞の中で珍しく、サンデーサイレンス産駒もディープインパクト産駒も未勝利だった。血統的無政府状態が特徴ともいえる重賞を「3代目」が縄張り化したわけで、これもサイヤーライン発展のバリエーションといえるだろう。(サラブレッド血統センター)

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