テーオーエルビス ブリーダーズC43年の歴史の縮図

2026年11月4日 05:30

 “チャンピオンベルトは奪うよりも守る方が難しい”というボクシングの格言を改めて実感させられた今年のBCクラシック。フォーエバーヤングの敗因はトレーナーと鞍上、異口同音の「分からない」が率直なところだろうが、観客サイドの感覚的にはオグリキャップがデビュー以来初めて馬券から外れた4歳時(当時の表記は5歳)の有馬記念に近い。決してピークアウトとは思えないが、3年連続の世界一周高額賞金競走サーキットの勤続疲労を考慮すれば、このまま偉大な敗者として競走生活を終えたとしても納得だ。

 そしてある意味、フォーエバーヤングの敗戦以上に衝撃的だったのがBCスプリントのテーオーエルビス。完全な勝ちパターンだった1番人気イングリッシュマンを外から一気に差し切り、1馬身1/4突き抜けた末脚には早朝の時間帯を忘れて思わず声を上げてしまった。非北米調教馬のBCスプリント制覇は91年シェイクアルバドゥ以来、35年ぶり2度目の快挙である。

 ちなみにテーオーエルビスの血統表は、さながらブリーダーズC開催43年に及ぶ歴史の縮図。先月16日に27歳で没した3代父のメダグリアドーロは、BCクラシック2年連続(02、03年)1番人気2着の屈辱をバネに生産部門で大成功を収め、サドラーズウェルズ父系の北米進出の橋頭堡(ほ)となった名種牡馬。父ヴォラタイルの母の父アンブライドルズソングは95年BCジュベナイル、その父アンブライドルドは90年BCクラシックの覇者で、母のストップショッピングデビーは、カーリン(07年)×ワイルドアゲイン(84年)というBCクラシック優勝馬配合の賜物(たまもの)である。米国生産界にとっても垂ぜんの血統構成。少々気が早いが、将来的には日米“ブリーダーズ”による激烈な争奪戦が展開されることになるだろう。 (サラブレッド血統センター)

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