【ジャパンC】ディープ“最終傑作”オーギュストロダンが“最高傑作”
2024年11月20日 05:30 今年のジャパンCは44回の歴史で初めて、日本産種牡馬の産駒が外国招待馬として出走する。日本競馬史上6頭目の3冠馬であり、第26回ジャパンC優勝馬でもあるディープインパクトの最終世代オーギュストロダン。父が競走馬としてのみならず、種牡馬としても偉大な足跡を残した日本ダービーコースへの血統的原点回帰とも表現すべきラストランである。
初めてオーギュストロダンを当欄で取り上げたのは、2着に敗れたデビュー戦直後の22年6月。ディープインパクト没年の交配で受胎したクールモア・スタッドのエース級繁殖牝馬が帰国後に産んだ“最後の傑作候補”としてだった。当時の評価が運命論的なオカルト込みの希望的観測だったことは否定しないが、オーギュストロダンは以後3連勝でフューチュリティトロフィーSを制し、現実にディープインパクト産駒最後の2歳G1ウイナーに上り詰めた。
さらに英2000ギニー大差負けから歴史的な巻き返しとなった英ダービーでは、国内外合わせて13頭という血統登録産駒数から厳しいと思われていたディープインパクト産駒の全13世代クラシック勝利を達成。返す刀で愛ダービーも制し、秋には当該年の英ダービー馬として02年ハイシャパラル以来、史上2頭目のBCターフ制覇を果たした。
4歳を迎えた今年はプリンスオブウェールズSで現在のところ父の産駒唯一のG1勝ちを収め、累計G1勝利数は父子2代の3冠馬コントレイルの上を行くディープインパクト牡駒最多の6勝。英2000ギニーに加え、間にドバイシーマクラシックを挟んだ“キングジョージ”2連敗と、周期的な計4回の大差負けが負のバイアスとなっている面はあるが、ディープインパクト“最後の傑作”は同時に“最高傑作”だったと言っても過言ではないだろう。
ジャパンC歴代最多勝(4勝)サイヤーである父ディープインパクトは他に日本ダービー馬を7頭、オークス馬を4頭出している。当然ながら過去に来日した外国調教馬の中で、これほど東京2400メートル向きの可能性を感じさせた血統の馬は存在しない。オーギュストロダンにとっては現役生活の最後にようやく、血統的潜在能力を全開するチャンスが巡ってきたという見方もできる。大パフォーマンスで有終の美を飾ってもらいたい。 (サラブレッド血統センター)