【京王杯2歳S】リンゴアメ、ペロリと頂く牝馬V!22年ぶり快挙へパリっと仕上げ

2020年11月6日 05:30

リンゴアメ

 リンゴの季節に22年ぶりの牝馬制覇だ。「第56回京王杯2歳S」(7日、東京)でリンゴアメが函館2歳Sに続く重賞連覇に挑む。牝馬の同レース優勝がなれば98年ウメノファイバー以来の快挙。リンゴを飴(あめ)でコーティングしたような丁寧な仕上げで万全の態勢を整えている。

 名は体を表すという。旬の時季を迎えてたわわに実った青森リンゴ「ふじ」のような張りのあるトモ。酸味と甘みが絶妙に調和した青リンゴ「王林」のようにバランスの取れた前後肢。リンゴをパリッとコーティングした飴のように薄い皮膚と輝く毛ヅヤ。リンゴアメは調教ゼッケンに記されたその名の通りの姿だ。

 「ビッグレッドファーム(北海道新冠町)でゆったりできて、体がひと回り増えた。体重も新馬戦(412キロ)、函館2歳S(420キロ)と徐々に増えて、現在は436キロ。10キロ以上増やしてレースに臨めそうです」と頼もしげに見つめる菊川師。「気性も少し大人になって、以前ほど物見をしない。人に例えれば前走が小学生、今は中学生ぐらいまで成長したかな」。その視線の先では素質のつぼみを開こうとする2歳牝馬が色づく樹木の下で穏やかにたたずんでいる。

 今年最初のJRA新馬戦(函館1000メートル)ではスタート後、他馬に前方に入られたため驚いて後ろに下がるアクシデント。ゴール前では物見して外へ逃げながら1馬身3/4差の楽勝だった。続く函館2歳Sでは道中追走に手こずり、3角では内にモタれながら首差差し切った。「掛かることはないし、1200メートル戦ではやっと流れに乗れたぐらいだからマイルまで対応できるはず」と同師は続ける。

 牝馬の京王杯2歳S優勝は98年ウメノファイバーが最後。「いきなりマイルにいくのではなく、1Fずつ延ばして目標の阪神JF(12月13日)に向かいたい」。父マツリダゴッホ、母マイネデセール(デセールはフランス語でデザート)の連想で命名された“祭りのデザート”はメイワキミコ(77、78年スプリンターズS連覇)の曽孫。昭和を代表する懐かしき在来牝系だ。「懐かしいといえば子供の時分に西新井大師の縁日で買い食いしたリンゴ飴やアンズ飴…うまかったなあ」。西新井に隣接した北千住(東京都足立区)出身のトレーナーは笑った。22年ぶりの牝馬Vへ。パリッとサクサク…馬券を買っても甘くておいしく、ちょっぴり懐かしい味がするリンゴアメはいかが。

 【函館2歳Sに続く連覇は過去2頭のみ】函館2歳S、京王杯2歳Sの連覇はグレード制導入の84年以降、ホクトヘリオス(86年)、マイネルマックス(96年)の2頭だけ。リンゴアメが勝てば24年ぶりの快挙となる。98年京王杯3歳S(当時)を優勝した牝馬ウメノファイバーは函館3歳S4着、札幌3歳S7着からの臨戦だった。

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