【有馬記念】アカイイトで結ばれた幸英明 デビュー28年目で初参戦

2021年12月22日 05:30

幸英明

 赤い糸で結ばれた人馬が有馬記念を盛り上げる。キズナ産駒アカイイトとコンビを組む幸英明(45)はデビュー28年目で暮れのグランプリ初騎乗。今年80勝を挙げ、自身の年間最多勝利数を更新中と、今まさに脂が乗ったジョッキーは今年、運命を変える牝馬と出合った。

 「ファム・ファタール」。フランス語で「運命の女」。出会うことで男の運命を変えるような女性のこと。

 デビュー28年目の幸英明。94年デビュー以来JRA通算1547勝。年間最多騎乗(12年1081鞍)記録保持者。鉄人のイメージがある幸が、45歳の今年、現在80勝をマークしてキャリアハイを更新。有馬記念初参戦。ベテランの域にある幸を初舞台に導いたファム・ファタールがアカイイトだ。幸は参戦を喜んでいる。

 「ダートの騎乗数が多いこともあって、なかなか有馬記念は巡り合わせがなかった。初参戦は素直にうれしいです。ついに一年を締めくくるレースに参戦できる。全力を尽くします」

 先月のエリザベス女王杯、10番人気の幸アカイイトは豪快な捲り追い込みVを決めた。「ある程度仕掛ける位置は決め打ちしていた。最後までしっかり伸びてくれたし、思いに馬が応えてくれました」と幸。鞍上の、のるかそるかの勝負に応えるあたり、人馬に結ばれた運命の糸が感じられるではないか。

 紡がれてきた人との絆も解き明かしておこう。幸とアカイイトの岡浩二オーナーは03年秋に出会った。デビューから引退まで手綱を取ったスティルインラブの3冠祝勝会。「場所は大阪の居酒屋でした。まだ岡オーナーが馬主の免許を取得される前です」。以来、幸と岡オーナーが誠実に積み重ねてきた絆は18年後に結実する。九州産ヨカヨカで8月の北九州記念を制覇、そしてアカイイトのエリザベス女王杯制覇と幸&岡オーナーのコンビは大ブレークした。

 「結果を出すことができてうれしいし、このご縁には感謝しかない。今年の最後に、いい結果を届けられたら」

 幸が力を込めて語った。追える中堅、ベテランとして地位を確立している幸英明。カラフルではなくいぶし銀のイメージが近いが、そのイメージまで変えてしまうか。幸とその運命の女アカイイトが有馬記念に挑む。

 ◇幸 英明(みゆき・ひであき)1976年(昭51)1月12日生まれ、鹿児島県出身の45歳。94年に騎手免許を取得、谷八郎厩舎所属でデビュー。03年桜花賞(スティルインラブ)でG1初制覇、オークス、秋華賞も勝って牝馬3冠制覇を達成した。JRA通算2万1822戦1547勝(うち重賞42勝、G1・8勝)。1メートル67、50キロ。血液型A。趣味はゴルフ。

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