【日本ダービー】武豊 ドウデュースで最年長53歳&6度目V!さあ凱旋門賞制覇

2022年5月30日 05:15

<東京11R・日本ダービー>ドウデュースと史上最年長53歳2カ月15日で日本ダービーを制した武豊(撮影・西川祐介)

 戻ってきた6万人超の大観衆の前で、レジェンドが翼を広げた。3歳馬の頂点を決めるG1「第89回日本ダービー」が29日、東京競馬場で行われた。3番人気ドウデュース(牡=友道)が追い込みを決め、ダービーレコードでV。鞍上の武豊は13年キズナ以来6度目のダービー制覇を果たし、自身の持つダービー最多勝記録を更新。20代、30代、40代、50代でそれぞれダービーを勝ち、史上最年長となる53歳2カ月15日でのダービージョッキーとなった。

 雲一つない真っ青な空と夏を思わせる太陽の下に観衆が戻ってきた。コロナ下の規制が緩和された興奮の中心には、やはりこの男。武豊がドウデュースで6度目のダービーV。自身の持つ最多勝記録を更新した。ウイニングランの中で自然と“ユタカ・コール”が起こった。

 「ダービーのこの景色が僕自身久しぶりだったので、やっぱりいいですね。懐かしいなと思いました。ジョッキーとしてこれほど幸せな瞬間はないです。一昨年が無観客で、昨年のダービーも静かでした。こうやって温かくファンに迎えていただけるのは最高。一番の励みになりますね」

 皐月賞と違って、ペースは流れた。前半1000メートルは58秒9。後方で気分良く走らせた。4角14番手で、しびれっ放しの手応えを内包。直線外から末脚を解放した。ゴールの後は右手で力強くガッツポーズ。「4コーナーを回ってくる時は最高の手応え。自分より前にいる馬は全部かわせると思いました。直線での反応が良すぎるくらい良くて、アッという間に先頭に立った。後ろから2着馬が気配を見せるとまた伸びてくれましたね」とパートナーを称えた。

 20、30、40代に続き史上初めて50代でダービーを勝った。53歳2カ月15日での達成は最年長。デビューした87年はJRが発足、野球界では巨人の江川卓投手が引退。もはやセピア色の世界とも言える年から、トップランナーとして走り続けている。人はどこまで進化するのか。

 レース後、暑い中でほとんどのファンがスタンドに残って武豊の言葉を待つ。

 そう、ファンも夢に続きがあることを知っている。日本調教馬として初の凱旋門賞制覇だ。武豊は力強く宣言した。

 「また、大きな目標を与えてもらえた。ドウデュースと共に世界も含めて、これからも頑張っていきたい」

 称賛と後押しの大きな拍手がこだました。今秋の凱旋門賞(10月2日、パリロンシャン)遠征についても、この日オーナーから早々ゴーサイン。競馬界のレジェンドが、第89代ダービー馬と共に重い歴史の扉をこじ開けに行く。

 ◇武 豊(たけ・ゆたか)1969年(昭44)3月15日生まれ、京都府出身の53歳。87年、騎手デビュー。JRA通算2万3499戦4350勝、うち重賞349勝(G1・79勝)。1メートル70、51キロ。血液型O。

 【武豊ダービー制覇VTR】

 ☆98年スペシャルウィーク 10度目、20代最後の挑戦で初制覇。直線でステッキを落とすアクシデントはあったが懸命に追って5馬身差の圧勝だった。「ダービーは子供のころからの憧れ。本当は叫びたいぐらい」。表彰式ではプレゼンターの木村拓哉から祝福された。

 ☆99年アドマイヤベガ ダービージョッキーとなって参戦した翌年、史上初のダービー連覇。直線はナリタトップロード、テイエムオペラオーとの追い比べを制した。「母が2冠馬ベガ。デビューした時から、この馬でダービーを勝ちたいと思っていた。本当にいい親子」

 ☆02年タニノギムレット 2月の落馬で負った骨盤骨折を乗り越えてつかんだV。史上初のダービー3勝騎手となった。「今年はまた格別なものがありました。3つ獲れば4勝、5勝と伸ばしていきたい。まだ若いのですから」。表彰式では小泉純一郎首相(当時)から祝福。

 ☆05年ディープインパクト 73年ハイセイコーを超える歴代1位の単勝支持率73.4%(オッズは1.1倍)に応え、無敗のまま皐月賞に続く2冠に導いた。30代で3回目のダービーV。「感動しています。この馬の強さに」。レース後には最強馬の代名詞として自ら“英雄”と名付けた。

 ☆13年キズナ 40代での勝利はディープインパクト産駒で挙げた。8年ぶりに返り咲いたお立ち台では「僕は帰ってきました!」と高らかに宣言。「ここ数年なかなかいい結果を出せず苦しかった。この馬に巡り合えて答えを出せた」。天才復活をアピールする勝利だった。

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