【日本ダービー】ドウデュース レースレコードV!松島オーナー「凄いドラマ」

2022年5月30日 05:15

<東京11R・日本ダービー>大観衆の前で日本ダービーを制した武豊騎乗のドウデュース(撮影・郡司修)

 世界一の武豊ファンが、壮大な夢の実現に向けて大きな一歩を刻んだ。「第89回ダービー」は、(株)キーファーズの松島正昭オーナー(64)が所有する3番人気ドウデュースが優勝した。勝ちタイムの2分21秒9は昨年シャフリヤールの記録を0秒6も更新するレースレコード。「武豊と凱旋門賞V」という同オーナーの悲願成就が大きく近づいた。管理する友道康夫調教師(58)は現役最多のダービー3勝目となった。

 壮大な夢が現実となり始めた。「武豊と凱旋門賞を勝つ」。その一心で馬主となった(株)キーファーズの松島正昭氏は万感の思いで、武豊とドウデュースの勇姿を見つめた。

 「何というか本当にこんなことってあるのかと思いました。ビックリしました。凄いドラマです」

 まさに灼熱(しゃくねつ)ダービーにふさわしい熱戦。直線半ばでドウデュースが鋭く抜け出すも、外からイクイノックスがじりじりと迫ってきた。栄光のゴール前は際どい勝負に。それでも「(武豊騎手の手綱さばきが)大好きですから。大ファンですから、信じていました」と松島氏。手ごわいライバルを首差退け、武豊と初めて挑んだダービーで歓喜の瞬間を迎えた。

 セレクトセールなどで素質馬を集め、常に「武豊騎手と凱旋門賞を勝ちたい」と口にしてきた同オーナー。所有馬の大半に武豊を乗せ、その先に世界最高峰のレースをイメージした。そして、ついに出合ったドウデュースという逸材。ダービー2勝(16年マカヒキ、18年ワグネリアン)、凱旋門賞挑戦(16年マカヒキ)の経験もある名門・友道厩舎に託し、この日は春初戦の弥生賞から14キロ減の究極仕上げで迎えた。友道師は「自信はありました。弥生賞、皐月賞を負けはしたけど勝ちに等しい内容だったので」と納得の表情で振り返った。

 もちろん今年の凱旋門賞(10月2日、パリロンシャン)には登録済み。松島氏は「やっと(凱旋門賞の)スタートラインに立てました」と力強い。実現すれば、馬がグッと強くなる3歳秋での遠征。過去、多くの日本馬がタフなコースとペースに泣いたが、早くから経験を積むことで4歳、5歳でのチャレンジも可能となりそうだ。「明日から楽しくなりますね。友道調教師にお任せをして、どこにでも行きます。絶対に行きます」。松島氏、そして武豊にとっても悲願となる凱旋門賞制覇が大きく近づいた。壮大な夢の前では、ダービーすら通過点なのかもしれない。

 ▽凱旋門賞 1920年に創設されたフランスの国際G1競走。パリロンシャン競馬場で毎年10月の第1日曜日、芝2400メートルで開催される。欧州調教馬以外は勝っておらず、日本馬も過去のべ29頭が挑戦したが99年エルコンドルパサー、10年ナカヤマフェスタ、12&13年オルフェーヴルの2着が最高着順。大手ブックメーカーの英ウィリアムヒル社は今年のVオッズで昨年の凱旋門賞3着ハリケーンレーン、マイルG1・3勝バーイードの2頭を9倍で1番人気に設定。日本馬はドウデュース、シャフリヤール、タイトルホルダーの3頭が21倍で並んでいる。

 ◆ドウデュース 父ハーツクライ 母ダストアンドダイヤモンズ(母の父ヴィンディケーション)19年5月7日生まれ 牡3歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・キーファーズ 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績6戦4勝(重賞2勝目) 総獲得賞金3億8595万1000円 馬名の由来は、する+テニス用語(勝利目前の意味)。

 【日本ダービーアラカルト】

 ☆武豊 JRA・G1は昨年の朝日杯FS(ドウデュース)以来で通算79勝目。JRA重賞は今年のニュージーランドT(ジャングロ)以来で今年3勝目、通算349勝目。

 ☆友道師 JRA・G1は大阪杯(ポタジェ)以来で今年2勝目、通算16勝目。JRA重賞は通算54勝目。

 ☆オーナー (株)キーファーズのJRA・G1は昨年の朝日杯FS以来で通算2勝目。

 ☆生産者 ノーザンファームのJRA・G1はヴィクトリアM(ソダシ)以来で今年4勝目、通算177勝目。

 ☆血統 ハーツクライ産駒のJRA・G1は昨年の朝日杯FS以来で通算14勝目。

 ☆関西馬 18年ワグネリアンから5年連続勝利。通算成績は関西44勝、関東45勝。

 ☆小倉デビュー 小倉デビューのダービー馬は14年ワンアンドオンリー以来3頭目。

特集

2022年5月30日のニュース