欧州で2400メートルG1勝利はエルコンドルパサーだけ 今年は…

2022年7月15日 05:20

サンクルー大賞を制したエルコンドルパサー(AP)

 【競馬人生劇場・平松さとし】
 凱旋門賞挑戦を表明する陣営が続々出てきた。

 このレースを占う時、判で押したように「重い馬場が日本馬に合わない」という話が出る。昨年、クロノジェネシスとディープボンドがそれぞれ7、14着に敗れた時も同様の論調が多く見られた。しかし、同じ日のフォレ賞(G1、1400メートル)ではエントシャイデンが3着。同馬は日本のG1での実績は皆無といってよい馬なのにパリロンシャン競馬場のG1で好走したわけで、つまりは必ずしも馬場が日本馬に合わないわけではないと推察できる。

 では何が?と考えると単純に2400メートル路線での欧州勢のレベルの高さが壁になっていると考えられる。実は馬場が重いと言われている欧州でも日本馬はG1を7勝している。しかしタイキシャトルやアグネスワールド、エイシンヒカリなどそのほとんどは短~中距離戦。2400メートルではサンクルー大賞を制したエルコンドルパサーたった一頭しかいないのだ。

 ご存じのように同馬は後に凱旋門賞で2着。日本馬として初めて連に絡んだ。しかし、サンクルー大賞当日の競馬場、実は関係者が「初めて」というくらいにイレ込んだ。管理していた二ノ宮敬宇調教師(廃業)は当時「海外遠征は何が起きてもそれを予期しておかなくてはいけないのですが、さすがにこの時は“大丈夫かな?”と思うくらいイレ込みました」と言った。

 そんな時、助けてくれたのが地元フランスのホースマンだった。エルコンドルパサーが入厩していた厩舎のスタッフが「一度、馬体を洗おう」と助言。言われた通り、水で全身を洗うと、すっかり落ち着きを取り戻した。その結果、前年の凱旋門賞馬サガミックスなど強敵を一蹴。これが1999年7月の話だから、それから23年がたったわけだ。

 しかし、その間、欧州で2400メートルのG1を制した日本馬はただの一頭も出ていない。そんな高い壁に今年、挑むのがステイフーリッシュ、タイトルホルダー、ディープボンドとドウデュース。いずれも日本に協力的な厩舎に入るところから期待したい。 (フリーライター)

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