【秋華賞】秋に咲いたスタニングローズ 28度目の挑戦 坂井はG1初制覇!

2022年10月17日 05:24

《阪神11R・秋華賞》3冠を狙うスターズオンアイス(9)、同厩舎のナミュール(8)を突き放しラスト1冠を制したスタニングローズ(7) 

 3歳牝馬の3冠ロード最終戦「第27回秋華賞」が16日、阪神競馬場で行われ、3番人気に支持されたスタニングローズが好位から力強く抜け出して快勝。デビュー7年目の坂井瑠星(25)と人馬ともうれしいG1初制覇を飾った。2着がナミュールで高野厩舎がワンツー。史上7頭目の牝馬3冠を狙った1番人気スターズオンアースは3着に敗れ、JRA平地G1の1番人気の連敗は15となった。

 普段クールな坂井がファンの大歓声に応え、スタニングローズの馬上で高々と指を1本空へ掲げた。そして両手で力強くガッツポーズ。G128度目の挑戦で初勝利。検量室前は高野厩舎、矢作厩舎のスタッフも加わって殊勲の人馬を出迎え、祝福ムードに包まれた。坂井は「(ゴールした後は)夢に見たG1で最高の瞬間でした。馬が頑張ってくれたし、スタニングローズに関わる全ての関係者に感謝したい」と喜びを口にした。

 来るなら来い!自信に満ちあふれた騎乗ぶりだった。序盤から好位でリズム重視。2角ではアートハウスの直後に収まった。鞍上は「この馬のリズムで後ろすぎないようにと。いいポジションでレースを進めることができました。前回と比べて反応が違った。しっかりと伸びていたので、これで負けたら仕方がないという手応えでした」。勝負どころの4角手前でゴーサインに力強く反応。直線に向いて鞍上の左ステッキでトップギアに入ると、阪神の急坂を上って一気に先頭へ。内からスターズオンアース、外から僚馬ナミュールの追い上げを半馬身振り切り、ゴールへ飛び込んだ。

 向上心の高さはルーキー時代から変わらない。デビュー2年目の17年に初めて海外遠征を経験すると、今年も凱旋門賞当日のフォレ賞(G1)でエントシャイデンとコンビを組み3着好走に導いた。「いろんな国で騎乗して緊張しなくなった。心に余裕があったし、(今回が)今までで一番チャンスがあると思っていました」と振り返った。

 14年ショウナンパンドラ以来、2度目の秋華賞制覇となった高野師は「1歳から見ていて、いい雰囲気の馬だと思っていた。オークス(2着)の経験を経て、より強くなった。今後、もっと活躍してくれる馬。今日がその第一章ですね」と愛馬をねぎらった上で「頭がいいし、研究熱心。そこに技量もある。騎手としていい人材です」と鞍上の好騎乗を称えた。

 親交の深い同期の荻野極が秋G1開幕戦のスプリンターズS(ジャンダルム)でG1初制覇。大きな刺激として自身も続いた。切磋琢磨(せっさたくま)して伸びゆく若き力が、秋のG1戦線を盛り上げていく。

 《祖母、曽祖母の雪辱 サンデーR・吉田俊介代表》馬主のサンデーレーシングは19年クロノジェネシス以来、秋華賞3勝目。吉田俊介代表は「どこかでタイトルを獲らせたいなと思っていた馬で、夏によく成長してくれました」と馬を称えた。秋華賞は3代母ロゼカラーが3着、祖母ローズバドは2着に敗れていて“バラ一族”にとってもうれしいタイトル。「大事にしていた母系で、ノーザンファームができたころに父(吉田勝己氏)が買ってきた最初の繁殖牝馬がローザネイ(スタニングローズの4代母)。その頃からずっと見てきましたから」と喜びを語った。

 ◇坂井 瑠星(さかい・りゅうせい)1997年(平9)5月31日生まれ、東京都出身の25歳。矢作厩舎所属で16年3月デビュー。1年目から25勝を挙げ、中央競馬関西放送記者クラブ賞(関西所属騎手新人賞)を獲得。20年ジャパンダートダービー(ダノンファラオ)でJpn1を制覇。JRA通算3431戦268勝(重賞10勝)。父・英光氏は南関東・大井の元ジョッキーで調教師。1メートル70、48キロ。血液型O。 

 スタニングローズ 父キングカメハメハ ローザブランカ(母の父クロフネ)19年1月18日生まれ 牝3歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績10戦5勝(重賞3勝目) 総獲得賞金2億8586万2000円 馬名の由来は魅力的な薔薇(バラ)。

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