“ダービー3勝の名手”福永祐一 難関調教師試験一発合格!新たな一歩へ来年2月騎手引退
2022年12月9日 05:30 JRAは8日、令和5年度新規調教師免許試験の合格者を発表した。JRA・G1・34勝を誇る福永祐一(46)を含む7人(関東3人、関西4人)が合格。一発で難関突破を果たした名ジョッキーがムチを置いて調教師となる喜びや決意を語った。
一発でサクラサク。栗東トレーニングセンターで行われた調教師試験合格の記者会見、福永は晴れやかな笑顔を浮かべながら感謝の言葉を口にした。
「調教師の勉強を始めたのは今年に入ってから。騎乗に制限をかけたり試験の前は乗らないという選択は取らず、通常の仕事の中で受けようと決めていました。自分自身が苦労したというより、たくさんの人がサポートをしてくれました」
現役3位のJRA2613勝、20年には3冠馬コントレイルとの巡り合い。昨年はシャフリヤールでダービー3勝目を挙げた。今年もフェブラリーS、皐月賞を制している。先週のチャンピオンズCはクラウンプライドで2着。「まだまだやれるじゃないか!」というファンの声が聞こえてくる。
「成績も40歳を超えてからキャリアハイ(20年JRA134勝)をマークできたし、年々いい馬との出合いも多かった。騎手の仕事に対する情熱が変わったことはないです。今年は調教師になりたいという気持ちが、騎手を続けたい気持ちを上回った。もともと調教師という仕事に興味を持っていましたし、セレクトセールに行っても馬を見るのが楽しかった。そういった準備は何となくはしていました」
最近ではYouTubeの動画に登場するなど、競馬の楽しさを伝えてきた。軽妙で分かりやすい語り口、ネットユーザーは尊称としてひと足早く“福永先生”と呼んでいた。対戦する馬をしっかりと分析して頭をひねる。優れた記憶力があり、理論派としての一面も見えた。
「感覚で結果を出せる騎手ではなかったと思います。やっていることを言語化して取り入れて、結果を出してきた。馬にとってベストの選択ができる厩舎が目標です」
騎手・福永祐一は来年2月28日でターフを去る。9日は自身46回目のバースデー。最高の経験と最良の理論を携えて、新たな道を歩んでいく。
▽JRA調教師試験 受験資格は28歳以上。第1次が筆記試験と身体検査、合格すると第2次で口頭試験と人物考査が行われる。いずれも競馬法規や調教、馬学、衛生学、飼養管理など幅広い専門知識を問われる。合格後はタイミングにもよるが技術調教師として1年ほど研修、準備期間を経て開業するケースが多い。今年の申請者は134人、第1次試験が9月14日、第2次試験が11月29日~12月1日にあった。
◇福永 祐一(ふくなが・ゆういち)1976年(昭51)12月9日生まれ、滋賀県出身の46歳。96年に栗東・北橋修二厩舎所属でデビュー。ルーキーイヤーに53勝を挙げ、最多勝利新人騎手に輝く。99年桜花賞(プリモディーネ)でG1初制覇。11年最高勝率騎手、13年最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手などのタイトルを獲得。18年にワグネリアンに騎乗し、19度目のチャレンジでダービー初制覇を成し遂げ、20年コントレイル、21年シャフリヤールを合わせて日本ダービー3勝。JRA通算1万9351戦2613勝、うち重賞159勝(G1・34勝)。1メートル60、52キロ。血液型B。