武豊、福永、四位がつないだ歴史的バトン 21年前の“奇跡”もう一度

2022年12月9日 05:20

武豊

 【競馬人生劇場・平松さとし】
 「また日本馬だ!!」。どこからともなく、そんな声が聞こえてきたのをよく覚えている。01年12月16日の香港、シャティン競馬場でのことだった。

 まずは香港ヴァーズ(G1)のステイゴールド。武豊騎手を鞍上にゴール直前ですさまじい末脚を披露。差し切って勝利した。「ゴール寸前の脚は乗っていても“速い!!”と感じるほど。よく届いてくれました」。武豊騎手はそう言って笑顔を見せた。「現役最後の一戦でG1馬になれたのはうれしい限り」。そう語ったのは同馬の調教助手として当時、現地入りしていた池江泰寿現調教師。こちらも笑顔がはじけた。

 その様子を見ていた2人の騎手が四位洋文騎手(現調教師)と福永祐一騎手。共に「さすがユタカさん」と感服していた。しかし、そんな2人がこの後、歴史的な一夜のバトンをつないだ。

 香港マイル(G1)でエイシンプレストンに騎乗した福永騎手が見事に優勝すると、香港カップ(G1)でアグネスデジタルの手綱を取った四位騎手も先頭でゴールイン。今でこそ日本馬が海外で活躍するのは当たり前のようになっているが、当時、1日に3つのG1を日本馬が制したのは、まさに奇跡的な偉業。日本の関係者だけでなく、世界中から集まったホースマンたちが皆、驚きの表情を見せていたものだ。

 さて、それから21年の歳月が流れた。先述した通り四位騎手は現在、調教師となって活躍中。また、福永騎手も8日に発表された新規調教師試験の合格者に名を連ねた。一方、池江助手は既に調教師となりオルフェーヴルでの3冠制覇など実績を積み上げ、今年の香港にはスプリントにジャンダルムを送り込む。

 武豊騎手は今でもバリバリの現役。今年の香港ではカップのジャックドールの他、ヴァーズではアイルランドのブルームに。また、平場戦でも現地の馬を依頼されている。21年前のような盛り上がりがまた見られることを期待しよう。(フリーライター)

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