【菊花賞】タスティエーラ 新コンビのモレイラと視界良好!併せ馬鋭く「久々を全く感じさせない」

2023年10月19日 05:30

モレイラを背に併せで追い切るタスティエーラ(右)(撮影・村上大輔)

 菊の大輪を咲かせるのは進化したダービー馬だ。「第84回菊花賞」の追い切りが18日、美浦、栗東トレセンで行われ、ダービー優勝以来の出走となるタスティエーラが圧巻の走りで休養明けの不安を一蹴した。初コンビを組むジョアン・モレイラ(40=ブラジル)の手綱から伝わってきたのは隙のない仕上がりと長距離適性。73年タケホープ以来50年ぶりとなるダービー&菊花賞の2冠獲りへ王手をかけた。同レースは19日に出走馬と枠順が確定する。

 長期休養明けで菊花賞は勝てない。そんなクラシックのジンクスを馬なりで吹き飛ばす走りだ。ダービー馬タスティエーラの背中を味わったモレイラが満足そうな笑みを浮かべて引き揚げてくる。「乗っていて久々を全く感じさせないんだ。反応もいいし、アクションも素晴らしい。フィットネス(体力)も十分に備わっている」

 Wコースでの併せ馬。ステイヤー資質を伝える長い背中からトモにかけてのトップラインを激しく伸縮させて加速する。3馬身先行したカフェクロニクル(4歳1勝クラス)のインに進路を向けると、一瞬にして並びかけた。脚色の違いは歴然。手綱を押して食い下がるパートナーを横目に馬なりで併入した。5カ月の休養明けでも重苦しさや鈍さなど、どこにもない。「長距離G1では休養明けの成績が悪い?そんなデータはこの馬に当てはまらない。長距離戦に必要なものも兼ね備えているから」

 人には添うてみよ、馬には乗ってみよという。馬の良しあしは実際に乗ってみなければ分からないとの意味。そんな日本のことわざなど知るすべもないブラジルの名手だが、ダービー馬に実際に乗ってみて分かったことがある。「頭がいいんだ。だからコントロールしやすい。それに、父親と比べて…」。父サトノクラウンと初コンビで優勝した16年香港ヴァーズを思い浮かべながら続けた。「テンションが高めだった父は2000メートルから2400メートルで頑張ったが、こちらは父より落ち着きがある。折り合いもつけやすい。長距離戦では大きなアドバンテージだと思う」

 京都3000メートルは初めてのモレイラだが手応えはある。「京都の他の距離では何度も乗って、3~4角のアップダウンも経験している。力強い馬だから2度の坂越えも心配していない」
 初コンビでは勝てない。ダービーのジンクスをレーンの初騎乗で破ったタスティエーラ。長期休養明けでは勝てないとささやかれる菊花賞のジンクスも吹き飛ばす構えだ。

 《ダービー&菊の2冠ならタケホープ以来50年ぶり》今年の菊花賞は“久々”がキーワード。タスティエーラはダービーから直行、中146日で挑むが、もしVならグレード制導入84年以降では87年サクラスターオーの中202日に次ぐ長間隔Vとなる。その87年はサクラスターオーが皐月賞と2冠、ダービーはメリーナイスVで関東馬がクラシック3冠を全勝。今年、関東馬が菊Vなら、それ以来36年ぶりの関東馬による牡馬3冠制覇となる。またダービーと菊花賞の2冠制覇は、3冠馬を除くと73年タケホープ以来50年ぶり。牡馬では史上2頭目という珍しい記録になる。

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