【ホープフルS】レガレイラ牝馬初V!最速上がりでごぼう抜き 牡馬クラシック殴り込み

2023年12月29日 05:28

ホープフルSを制したレガレイラをねぎらう鞍上のルメール(撮影・村上 大輔)

 23年の中央競馬を締めくくる2歳G1「第40回ホープフルS」が28日、中山競馬場で行われ、1番人気レガレイラが豪快な大外一気を決めた。牝馬の優勝は当レースが牝馬限定戦だった90年以前を除いて初めて。鞍上のクリストフ・ルメール(44)はグレード制導入以降、史上2人目となるJRAのG1・50勝目。新種牡馬スワーヴリチャード産駒はG1初勝利となった。同馬は牡馬クラシック1冠目の皐月賞(4月14日、中山)参戦も視野に入る。

 メンバー最軽量454キロの鹿毛の馬体が大外から飛んでくる。「フルパワーになったら凄かった。びっくりした」。異国の地でG1・50勝を積み上げた達人ルメールをも震撼(しんかん)させるレガレイラの爆発力。4角10番手から、メンバー最速の上がり3F35秒0でごぼう抜き。ラスト100メートル、凱旋門賞馬の弟シンエンペラーが馬体を併せてきてもひるまない。自分より28キロ重いライバルを押し返し、真っすぐ伸びきった。

 ゲートで待たされ、発馬はひと息。初角は16頭立ての14番手。ルメールが「プランになかった」と言えば、木村師も「ダメかな…と。道中は開き直って見ていた」。序盤から思わぬハンデを背負ったが、先行勢がもがく終盤戦になってもルメールの手は動かない。絶対能力が違う。「馬が落ち着いていた。直線手前で前の馬がフラフラしたけど、大外に出したら反応が凄かった」。2年ぶりにリーディングジョッキーに返り咲いた男には、入線直後にパートナーの首筋をなでる余裕さえあった。

 牝馬の優勝は当レースが牝馬限定戦だった90年(当時はラジオたんぱ杯3歳牝馬S)までさかのぼるため事実上、初の快挙。18年以降は牝馬の出走自体なく常識破りの起用ではあったが、レガレイラは10月27日に締め切られた24年度の5大特別競走の第1回特別登録で、皐月賞&ダービーに登録済み。牡馬への挑戦は“既定路線”の一つだった。サンデーレーシングの吉田俊介代表は「阪神マイルかここかジョッキーとも話して決めた。結果を出したし、来年は皐月賞の選択肢をとる可能性が大きいと思う」と性別を超えた挑戦の継続に意欲を見せた。

 世界最強イクイノックスを管理する重圧から解き放たれたばかりの木村師だが「これで来年も期待を背負う立場になった。ありがたいし幸せ。イクイノックスに恥じない働きをしたい」と襟を正す。ルメールは「冬を越して大きくなれば、もっと凄い馬になる」と新相棒の伸びしろを強調した。牝馬の皐月賞馬が誕生すれば48年ヒデヒカリ以来3頭目。64年ぶりにダービーを制した牝馬ウオッカともまた異なる道を歩むレガレイラ。誰も行かない道の先にこそ、新たな歴史がある。

 《サンデーR吉田代表「長い距離で使う」》馬主サンデーレーシングは17年タイムフライヤー以来の勝利。今年のG1は8勝目となった。吉田俊介代表は「届かないと思った位置から差してくれた。凄かった。牝馬で距離がもつのはいいですね。これからも楽しみ」とにっこり。「一生懸命走る馬だけど、競馬になるとリラックスして走ってくれる。今日もスタートで少し遅れたし、(距離が)長い方を選んで使っていくと思う」と展望した。

 《今年G1で猛威17勝ノーザンF吉田代表「リバティみたい」》生産者ノーザンファームは20年(ダノンザキッド)から4連覇。今年もJRAのG1・17勝と猛威を振るった。吉田勝己代表は「イクイノックスが引退したと思ったら、また凄い馬が出てきたね。リバティアイランドみたいだ。届かないと思ったけど、凄い切れ味だった」と新星誕生にご満悦。3代母にディープインパクトを出したウインドインハーヘアがいる血統。「彼女の血は凄い。性別は関係ない」と名牝に最敬礼だった。

 ◆レガレイラ 父スワーヴリチャード 母ロカ(母の父ハービンジャー)21年4月12日生まれ 牝2歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金8277万9000円 馬名の由来はポルトガル中西部の都市シントラにある宮殿。

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