【鈴木正】宝塚記念 人気馬を信じ続けた理由とは??

2021年7月1日 10:00

 木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。先週は上半期の総決算「第62回宝塚記念」で3連単1万3340円をゲットした鈴木正記者が、この春3度目の登場。万馬券ゲットに至るまでの思考を時間の経過に従って振り返った。

 宝塚記念は得意なレース。勝ち馬の傾向をつかみやすいからだ。まず、(1)リピーターが出現する。これは道中で急坂が2度出現し、小回りで直線が短いという特異なコースだから。好走できる馬が限られるのだ。そして、(2)有馬記念を勝った馬を重視。中山2500メートルも急坂を2度越え、直線が短い内回り。特徴が宝塚記念と同じなのだ。昨年の宝塚記念、有馬記念を制しているクロノジェネシスはコース適性で圧倒的優位。まずはこれが基本線だ。
 21日(月)。社内で原稿チェック。「達眼」こと鈴木康弘元調教師がクロノジェネシスの馬体に満点をつけた。写真をチェックすると、鈴木氏が「完熟」と評した馬体は素晴らしかった。体の内面からにじむような光沢。トモ(後肢)の膨らみと腹周りのラインは芸術的。出来の良さを確認した。
 22日(火)。札幌滞在中の高木記者が連載出稿。「先週、阪神で騎乗した騎手が“内枠&先行馬が有利”と言っている」。重要な馬場情報だ。頭に叩き込む。
 23日(水)。追い切りをチェック。クロノジェネシスは海外帰り。馬体は完璧でも、心肺機能が整っているかを見る必要がある。栗東CWコースでの併せ馬。僚馬が抵抗したところで首をサッと下げ、前に出た。この動きなら大丈夫。◎クロノジェネシスを決断。レイパパレの動きも抜群だが、最初から最後まで真面目に走りすぎているのが気になった。目を引いたのはユニコーンライオン。途中までは僚馬をのんびりと追いかけていたがゴーサインが出ると目の色を変えて追い上げた。この気持ちのメリハリはいいと感じた。キセキの威風堂々ぶりも良かった。
 24日(木)。枠順確定。(1)ユニコーンライオン、(2)レイパパレの並びに思わず声が出る。逃げ候補の2頭はともに内の絶好枠を引けたが、それにしても隣り合うとは…。近すぎる。2頭でハナを奪い合えば共倒れの可能性がある。思考を巡らせた上でまずは◎(7)クロノジェネシス。勝負どころでスピードが上がるとみて、ラストでいい脚を使える(11)モズベッロを○とした。(1)ユニコーンライオン、(2)レイパパレはともに△。
 いざレース。鍵となった先手争いは逃げ=ユニコーンライオン、2番手=レイパパレで早々と落ち着いた。1000メートル通過60秒0。道中で強引に押し上げる馬なし。これで先行2頭が馬券圏内に残ることが4角でほぼ見えた。◎クロノジェネシスはパドックで少々チャカついたが馬体は完璧。落ち着いてゲートインを迎えた時点で勝利をほぼ確信した。残り200メートルからのスパートは宝塚記念の歴史に残る迫力だった。
 3連単は◎△△で的中だが、ずっと気にかけていた先行2頭をともに△にとどめたのは読みの甘いところ。内有利という読みに徹し、ユニコーンライオンとレイパパレに○と▲を振っていれば財布は3倍くらいに膨らんでいたか…。馬券は取ったが反省も生まれた宝塚記念だった。

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