【悠貴】大雪で道悪必至の京都 “距離短縮”も読み切った

2025年2月13日 10:00

 木曜のテーマは競馬。前週に会心ヒットを放った記者が、的中へのプロセスを振り返る。今回は東京本社・鈴木悠貴記者の出番だ。穴メーカーの印象だが、渋く決める時もある。9日の京都G3きさらぎ賞で3番人気の本命馬リンクスティップが2着に入り、3連単6300円を難なくゲット。今シーズンの「東西記者ダービー」でトップをひた走る若手の熱弁を聞いてみよう。

 的中のヒントは馬場にあった。京都は7日の金曜から断続的な降雪。8日の土曜競馬開催が中止されたほどの悪天候で、市内では2年ぶりに積雪5センチまで到達したらしい。9日の日曜競馬が開催できても馬場悪化は免れない状況。開催2週目でも、パワーを求められる状態になることは明白だった。

 こういう特殊な条件で生きるのが血統。◎リンクスティップの父キタサンブラックは、まさにパワー特化型だった。それを象徴するレースが不良馬場で行われた17年の天皇賞・秋だ。出遅れて後方からの競馬を余儀なくされたが、馬場の悪い内めから“ワープ”して4角では2番手。直線でも力強く伸び、2着サトノクラウンの追い上げを首差しのいだ。

 その類いまれなるパワーは子供たちにもしっかり受け継がれている。2月2日時点で、キタサンブラック産駒は良馬場で勝率11・4%、連対率21・4%。やや重では勝率13・4%、連対率21・9%。そして重馬場では勝率14・8%、連対率22・2%。馬場が悪くなればなるほど数値は上昇している。

 血統だけではなく、ローテーションにも好走の要因が隠されていた。パワー馬場で求められるのはスタミナ。つまり、距離短縮馬にチャンスがあると踏んでいた。実際に◎リンクスティップは新馬戦(2着)、未勝利戦(1着)ともに今回より200メートル長い2000メートル戦。3馬身差快勝の▲サトノシャイニングも2000メートルの新馬戦を勝ち上がっていた。

 中団からしぶとく脚を伸ばして3着に入った△ランスオブカオスは200メートルの距離延長組だったが、こちらも血統に隠し味。母父ローエングリンは、重馬場の03年中山記念を逃げ楽勝の道悪巧者。欧州の歴史的種牡馬サドラーズウェルズから祖父まで脈々と続いたタフな血が、ランスにも流れていたのだ。

 傾向が分かりやすく、配当妙味もある馬場悪化時のレース。敬遠せず積極的に参加してみてください。

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