【高木】1年3か月ぶりの復活V見抜き 冬の東京開幕弾
2025年2月6日 10:00![](/images/column/100.jpeg)
木曜のテーマは競馬。前週に会心ヒットを放った記者が、的中へのプロセスを振り返る。今回は東京本社・高木翔平記者が登場。先週から冬の東京がスタートした。1日の白富士Sで3連単4万5020円を的中、初日メインで開幕弾を放った。勝ち馬シュトラウスは23年東スポ杯2歳S以来、約1年3カ月ぶりの勝利。復活をズバッと見抜いた、その眼力をのぞいてみよう。
シュトラウスは23年東スポ杯2歳Sから勝利が遠ざかっていた。モーリス産駒らしく気性面の難しさがあって、成績が伴っていなかっただけ。うまく折り合ってさえ走れれば、能力はピカイチ。2000メートルを走るのは初めてだったが、血統背景から大丈夫だろうと踏んでいた。母ブルーメンブラットは芝1800メートルの府中牝馬S勝ち。東京芝1400メートルでもオープンVがあり距離の守備範囲は広かった。
普段から間近で見ることのできる美浦所属馬に◎を打ったのは3度目。同馬の全3勝のうち2回で本命を託せた。普段の調教から気性が難しい馬。追い切り後に武井師に話を聞きに行くと、ストレートに成功の可否を教えてくれた。この中間は「今までで一番いい過程で本番を迎えられる」と前向きな言葉。陣営の地道で根気強い取り組みが実を結びつつあった。
かくして本番を迎えた。好スタートを切り、この馬自身がスッと内へ寄せた。外から行く馬を行かせて、好位のイン。いい感じだ。ところが2角でラチが途切れるところで前が空き、グインと前へ。結局は逃げる形となった。なだめながらの単騎逃げ。前半1000メートル60秒8はこのクラスを思えばスロー。開幕馬場も味方して逃げ切った。後半1000メートルは58秒3、きっちりと脚はたまっていた。
2着マイネルモーントは想定外の形ではあったが、やはり中山金杯2着の力は本物だった。すんなりハナを奪ったが、途中で先頭に立ったシュトラウスにやや翻弄(ほんろう)される形。次戦も注目していきたい。3着ルージュリナージュも美浦で調子の良さを感じていた一頭。昨年のヴィクトリアMは勝ち馬から0秒4差の5着に好走、リステッド競走では力上位だった。
朝日杯FSで2番人気に推された素質馬が久々に勝利を飾った。復権を信じて、結果を出してくれたのだからたまらない。手綱を抑えっきりの競馬にはなったが、かろうじて我慢。ギリギリのところで蓄えたエネルギーが最後の粘りにつながった。最近は払い戻しで「あまりつかないなあ…」とガッカリすることが多かったが、今回の3連単4万5020円は思った以上の額となった。
同厩舎で同期の菊花賞馬アーバンシックと同じか、それ以上の潜在能力があると言われ続けてきた逸材。この調子で競馬を覚えていけば、いつか大舞台まで手が届く。 (高木 翔平)