【秋華賞】 日本の伝統 アカイトリノムスメ&ミスフィガロ
2021年10月13日 05:30 エリザベス女王杯が3歳限定の牝馬3冠目として行われていた時代には、G1(級)勝ち馬の娘、あるいは妹という単純明快な良血馬が周期的に勝利を収め、しばしば波乱を呼んでいた。血統的付加価値のみで母としての未来が約束されているエリート牝馬は、競走馬としての功を急ぐ必要がなく、結果的に素質の開花が3歳秋にずれ込むケースが多い…。これが駆け出しのころにたどりついた仮説。当時とは育成技術も血統も格段に進歩を遂げた現在、血統情報の一般化も相まって穴狙いのセオリーとしては効力を失いつつあるのだが、マクロ的な良血優勢の基本線は変わっていない。
過去10年の秋華賞馬を見ても11年アヴェンチュラ(08年オークス馬トールポピーの全妹)、12年ジェンティルドンナ(母ドナブリーニが英G1チェヴァリーパークS勝ち馬)、16年ヴィブロス(13、14年ヴィクトリアマイル勝ち馬ヴィルシーナの全妹)、18年アーモンドアイ(母フサイチパンドラが06年エリザベス女王杯勝ち馬)、19年クロノジェネシス(同年ヴィクトリアマイル勝ち馬ノームコアの半妹)と、5頭までをG1馬の娘か妹が占めているのである。
アカイトリノムスメは10年に牝馬3冠を達成したアパパネの娘で、ミスフィガロは18年ダービー馬ワグネリアンの全妹。今年の出走ラインをクリアした馬では、この2頭が前記の“伝統”に合致する。 (サラブレッド血統センター)