【マイルCS】チャリン父系の日本競馬への適応力◎
2024年11月13日 05:30 英国から参戦するチャリンのプレレーティングは122。安田記念で貫禄を示したロマンチックウォリアーなど4頭と並ぶ10月6日付の世界ランキング芝M(マイル)部門で首位となっている。4歳を迎えて本格化した今年はマイルG13勝を含む7戦5勝、G12着2回という掛け値なしの現役最強マイラーである。
来シーズンからの種牡馬入りが決まっているチャリンの来日を間接的に後押ししたのは恐らく、上半期のG12鞍で実証された父系の日本競馬への適応力。初の英愛チャンピオンサイヤーが確定的な父ダークエンジェルは高松宮記念勝ちのマッドクールの父であり、父系祖父アクラメイションはロマンチックウォリアーの父。つまりチャリンの父と祖父は海外供用という部外者的立ち位置にありながら、3カ月足らずの間に父子2代で日本のG1サイヤーとなった。種牡馬戦国時代ならではの血統パワーバランスの異変ともいえるだろう。
チャリンの3代父ロイヤルアプローズはミドルパークS、スプリントCのG12勝を挙げた全欧チャンピオンスプリンター。1993年産の同馬は輸入種牡馬ワージブが愛国を本拠とした7年の海外種牡馬生活で残した唯一のG1勝ち馬である。ちなみにワージブは日本供用後の3世代で特別勝ち馬も不在という大失敗に終わった。ワージブの父であり、名種牡馬ラストタイクーンの父として知られるトライマイベストも同じく、日本輸入後は期待外れだった。前記した上半期のアクラメイション系旋風は2代続いた遠い祖先の汚名返上でもあったのである。
97年マイルCSでタイキシャトルの5着となった外国産馬プレストシンボリはワージブの愛国供用時の第3世代。このレースで引退の予定で、父系単位では27年ぶりの雪辱戦という観点からも注目のラストランだ。(サラブレッド血統センター)