クロワデュノール父キタサンブラックの特異な芝二千属性
2024年12月25日 05:30 3頭出しのモーリス産駒から優勝馬アドマイヤズームが出た朝日杯FSは、モーリス以外に複数の産駒を出走させた種牡馬がいなかったのだが、ホープフルSは現時点でキタサンブラックとドゥラメンテが3頭出し。種牡馬単位の切り口では“2強対決”ということになる。
キタサンブラック産駒では東京スポーツ杯2歳S勝ちのクロワデュノール、ドゥラメンテ産駒ではアイビーS勝ちのマスカレードボールがともに2戦2勝のエース格。タイトルの格では前者だが、同じ東京芝1800メートルの持ち時計では後者にアドバンテージがある。“大将戦”の行方を左右するのはおそらく、互いに初体験となる中山芝2000メートルへの適応力。そこで重要な意味を持つのが種牡馬キタサンブラックの特異な2000メートル属性だ。
種牡馬キタサンブラックの評価を決定づけた初年度産駒の大傑作イクイノックスは、23年秋の天皇賞で芝2000メートル1分55秒2のJRAレコード、というより実質的なワールドレコードを樹立した。中山芝2000メートルのコースレコードは、今年の紫苑Sでキタサンブラック産駒クリスマスパレードが記録した1分56秒6。小倉芝2000メートル1分56秒8のレコードホルダー、ガイアフォースもキタサンブラック産駒である。産駒デビュー4年目にして全国3場の芝2000メートルレコードを塗り替えてしまったのだから驚きで、種牡馬キタサンブラックが伝えるトップスピードの持続力は、芝2000メートル+極限のタイムトライアルで真価を発揮する隠しコマンド的な異能であることがわかる。
クロワデュノールの母ライジングクロスは、芝約14Fの英G2パークヒルS勝ち馬にして英オークス2着馬。この母は芝10Fのリステッド競走、ルーペSにも優勝しており、2000メートルが距離不足ということもない。イクイノックスがスルーした2歳G1タイトルを手に入れれば、クロワデュノールには“再来”の上を行く可能性も見えてくる。ホープフルな2歳王者の誕生を期待したい。(サラブレッド血統センター)