松本若菜「厳しい現実も見ていただきたい」競馬の世界で奮闘する女性を好演 日曜劇場のロケ地への思い

2025年10月19日 06:00

日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」から(c)TBSスパークル/TBS

 俳優・妻夫木聡(44)が主演を務める日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系・日曜後9・00)の第2話が19日に放送される。人と馬が織りなす壮大な物語において、女優・松本若菜(41)は、実家の競走馬の生産牧場で奮闘する女性を好演している。日曜劇場初出演の松本がスポニチアネックスの取材に応じ、自身の役どころやドラマの見どころ、そして演出担当の塚原あゆ子氏と「凄く話し合った」という妻夫木演じる主人公との「10年越しの再会シーン」について語った。 (井上 侑香)

 同作は、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語。原作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞も受賞した早見和真氏の同名小説「ザ・ロイヤルファミリー」(新潮文庫刊)だ。

 松本が演じる野崎加奈子は、北海道日高地方の競走馬の生産牧場・ノザキファームを父と一緒に経営しており、小さい頃から実家の馬と触れ合ってきたため、馬の個性や性格を捉える能力に長けている。また、主人公・栗須栄治の元恋人でもある。

 競馬の世界には詳しくなかったという松本だが、原作そして脚本を読み「私の中の競馬のイメージがガラッと変わりました」と語る。現代の世界中のサラブレッドは父系の血統を辿ると、すべて3頭の馬にさかのぼる。ドラマのテーマの1つである「継承」を体現している事実に触れ、「人と人のつながりや、継承の物語が広がっていて、ちょっと衝撃に近い感じでした」と実感を込めた。

 加奈子は実家が経営する生産牧場で働きながら、シングルマザーとして子供を育てている。芯の強い女性だが、松本は内側に秘めた苦悩までも繊細に演じきっている。「加奈子自身に子供ができた時に、実家の牧場の経営を続けるということが自分の使命になったんだと思います。それで、離婚してでも地元に戻って、牧場を継ぐ。将来がどうなるかわからない不安もあっただろうに、それを捨ててでも、子供と一緒に駆けて行った、加奈子のそういう部分にとても魅力を感じました。その強さや、でも強さだけじゃない、悩みやもどかしさを出せたらと思いながら演じています」と告白する。

 第1話では、学生時代に交際していた栗須と加奈子が約10年ぶりに再会するシーンが描かれた。撮影にあたり、演出の塚原氏とは「凄くしっかり話し合った」という。2人は元恋人という設定だが、第1話ではセリフなどによる直接的な言及はない。「途中まで、元カレ・元カノという言葉は出ていないんです。学生の頃に付き合っていて、これが10年ぶりの再会。だから再会した時のぎこちなさに、ちょっと嬉しさもあるんですよね。見てくださる方に、“この2人、何かあったな”と思わせる、そういうニュアンスを出そうと塚原監督とは話をしました」と、撮影を振り返った。

 塚原監督が演出を手がける作品への出演は久しぶりだが、「今回は、そこに実際に生きているかのように演じてほしい。予定とは違う芝居になってもいいから、その時に感じたリアクションを重視して、とおっしゃってくださるので、現場では自然体で過ごしています」と明かす。

 競馬の世界を舞台に描かれる家族や仲間との絆が胸を打つ本作だが、その見どころについて「人間と競走馬の物語ではあるんですが、夢や希望だけじゃ食べていけないという厳しい現実も私は見ていただきたいなと思っています。そこが(ロケ地の北海道)日高地方の1つの大きな悩みだったりもするので」と説明する。そして「作中では、人と人との繋がりの中心に必ず競走馬がいます。馬にかける思いや情熱、そして血を超えた繋がりは人間だけでなく馬にも通じている、と思いながら、加奈子を演じています」と言葉に力を込めた。

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