ママコチャ 種牡馬クロフネ“最後の傑作”
2026年3月25日 05:30
3年連続出走のママコチャは23年のスプリンターズS優勝馬。朝日杯フューチュリティSを制した2歳王者フサイチリシャールなどの03年産世代に始まり、17世代1848頭の血統登録産駒を残した種牡馬クロフネ最後のJRA現役馬である。
1歳年長の全姉ソダシは桜花賞、ヴィクトリアマイル、阪神ジュベナイルフィリーズのJRA牝馬限定マイルG1完全制覇を果たし、2000メートルの札幌記念でも牡馬を一蹴した名牝だが、ママコチャは4歳春の阪神牝馬S9着を最後に芝1400メートル以下の短距離に専念して素質を開花させた。祖母シラユキヒメをルーツとする“白毛一族”では異端の鹿毛。ちなみに伯母にあたる白毛のレジェンド、ユキチャンの孫で、続柄的には従姪(いとこめい)となる鹿毛馬メイケイエールも4歳時に短距離重賞3勝を挙げたスプリンターだった。遺伝学的に毛色と競走能力には相関関係がないのだが、一族で双璧の快速牝馬がどちらも白毛遺伝子を持っていないという事実にはオカルティックな興趣をそそられる。
四半世紀前にダート125というオーパーツ的レーティングを得たクロフネの異次元ともいえるスピード能力は、種牡馬としてはダート以上に日本の高速ターフで活用された。第2世代から08年スプリンターズSのスリープレスナイト、第5世代から11年スプリンターズSと12年高松宮記念を制したカレンチャンと、G1スプリンターを連発。前記フサイチリシャールが直線半ばで抜け出し、スプリンターとしての可能性を示唆した08年高松宮記念も忘れられない。短距離部門は種牡馬クロフネの原点ともいえるだろう。
クロフネの祖父デピュティミニスターは没年の25歳まで現役でフル稼働したタフネスの権化で、同じく25歳まで種付けを行った父フレンチデピュティは昨年1月、33歳で大往生した。生誕27年を迎えてなお、G1に産駒を送り込む種牡馬クロフネの生命力も長命父系ならではのもの。“最後の傑作”ママコチャの三度目の正直は十分にある。(サラブレッド血統センター)