【北九州記念】モズスーパーフレア、“楽に”一番時計 馬場荒れた時間に馬なりで坂路4F50秒1
2020年8月20日 05:30 日曜小倉メイン「第55回北九州記念」で始動する春のスプリント王モズスーパーフレア(牝5=音無)は栗東坂路で4F50秒1の一番時計。G1牝馬が酷暑を吹き飛ばす激走の予感を漂わせた。
これがG1馬のパフォーマンスだ。松若を背に坂路を単走で上がるモズスーパーフレア。12秒6、11秒4…。ラップが一気に上がった。全くの馬なりながら、しなやかに躍動する四肢。ラストは12秒1にまとめてフィニッシュ。4F50秒1。「速い!」と声が上がる。この日の栗東一番時計を軽々と叩き出した。
「先週追い切ってから良くなった。馬なりで凄くいい雰囲気。楽に時計が出るし、この時計でもオーバーワークにはならない」。松若は落ち着いたものだ。すでに多くの馬が駆け上がって馬場の荒れた時間帯。2番時計が50秒8だから、まさに圧倒と言っていい。自己ベストの48秒9を思えば50秒台は朝飯前かもしれないが、それでもこの速さには凄みがあった。
勝つことで馬は自信を抱く。高松宮記念は2位入線からの繰り上がりだったが勝ったことは事実だ。馬は一皮むけ、調教に音を上げなくなり、食欲を増す。モズスーパーフレアもそんな好循環に入った。先週の時点で516キロ(前走494キロ)の好馬体。付くべき箇所に筋肉が付いた。それでいて重苦しさはない。全身バネのしなやかさ。竹中助手が明かした。「高松宮記念後の牧場のケアが良かった。いい状態で栗東に帰ってきた。昨年と同じローテーションで馬に落ち着きがあり、今年はさらに馬に柔らかみが出た。硬さがない。体の感じがいい」
今秋の目標は当然、昨年2着だったスプリンターズS(10月4日、中山)の制覇。昨年の北九州記念は55キロで4着だった。今年は56・5キロを背負うが、G1馬となった今、泣き言は許されない。松若は「まだ枠が決まっていないが自分の競馬をしたい」。竹中助手は「逃げないと、みんな納得してくれないでしょう」。小細工なしの逃亡で今夏の成長の成果を見せつける。