堀井師“ユタカマジック”で有終へ

2022年2月24日 05:30

 【東西ドキュメント・美浦=23日】「あと5日だね…」堀井師に声を掛けられた小田はしんみりしていた。20年以上、取材で世話になってきた。73年3月に騎手として始まった指揮官の半世紀の“競馬人生”は今週幕を閉じる。「馬主さんにも、記者の方々にも温かくしてもらって…。最後までしぼまず、頑張れて良かった。厩舎の雰囲気もとてもいいんだ」。

 新潟では夏の夜の楽しかった競馬談議。残り1Fまで必死に粘ったアポロソニックの13年ダービー(3着)には思わず腰を浮かした。思い出は尽きない。出走回数にこだわってきた同師らしく、最終週も土、日曜の中山で8鞍の攻勢。土曜10R・富里特別のチアチアクラシカは第一人者・武豊が前走(4着)に続いて騎乗。「最後に武さんに乗ってもらえるだけでありがたいこと。良馬場は望むところ。ユタカマジックに託します」柔和な笑みがこぼれた。

 「コロナが落ち着いた時はぜひ食事しましょうね」

 周囲にいた記者仲間と小田は相づちを打った。クラシカが先頭でゴールを駆け抜けたら涙腺崩壊は間違いない。いや、小田の取材ノートは既ににじんでいた。

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