交わり少なくても互いに尊敬忘れぬ吉田兄弟の絆

2022年4月8日 05:30

大阪杯をポタジェで制した吉田隼(撮影・亀井 直樹)

 【平松さとし 競馬人生劇場】吉田豊騎手、隼人騎手の兄弟が大活躍だ。まずは既にベテランとなった兄の豊騎手。現地時間3月26日、ドバイ・メイダン競馬場で行われたドバイターフ(G1)でパンサラッサに騎乗。1000メートル通過58秒台で果敢にハナを切った。最後はロードノースとヴァンドギャルドの強襲にあったが粘りに粘ると、結果はロードノースとの1着同着。これが自身初の海外G1制覇となり、世界のF・デットーリ騎手と肩を並べて表彰台に登壇した。

 その1週間後の4月3日、阪神競馬場で行われたのが大阪杯(G1)だ。ここには昨年の年度代表馬エフフォーリアや5連勝中のジャックドール、また、前年の覇者レイパパレらが出走してきた。しかし、勝ったのは16頭立て8番人気、単勝58.7倍の伏兵・ポタジェ。その手綱を取っていたのが弟の隼人騎手だった。

 弟がデビューして間もない頃、兄も誘って一緒に食事をしたことがある。その際「兄弟でこのように食事に行くことはどのくらいの割合であるの?」と問うと、2人は口をそろえて答えた。

 「全くありません」

 数年前にもやはり兄弟を誘って一杯やったことがあったが、その時もまた同様のことを言っていた。弟を「隼人さん」と呼ぶ吉田豊騎手の弁。

 「年齢が8つも離れていて、僕が競馬学校に入った時、隼人さんはまだ10歳にもならない子供でした。当然、兄弟げんかをした記憶もないし、2人で一緒にどこかへ行ったなんていう記憶は全くありません」

 弟も同様の発言をするので、一見、あまり仲の良くない兄弟なのか?と思えてしまう。しかし、2週連続での兄弟G1制覇となった今回、それぞれとLINEをやり取りすると、兄は「隼人さん、マジか!?やるなぁ!!」と言い、弟は「大ケガを克服して海外でG1勝ちをする兄貴は凄い。いくら勝っても追いつけません」とのこと。一緒に行動をしなくても、互いが共にリスペクトし合っていることがよく分かる文面だった。

 今週の桜花賞には兄・豊でパンサラッサと同じ矢作厩舎のパーソナルハイが抽せんをくぐり抜け登録された。3週連続兄弟での大仕事となるか。期待しよう。(フリーライター)

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