【安田記念】“砂王”カフェファラオ 久々坂路締めで軽快仕上げ!芝王者へ堀師「十分に仕上がっている」
2022年6月3日 05:30 砂王、いざ芝へ参る。東京5週連続G1を締めくくる「第72回安田記念」の出走馬が2日、確定。カフェファラオ(牡5=堀)がメンバー唯一の木曜追いを行い、態勢を整えた。フェブラリーS2連覇中の砂の王者が、なぜ芝へのチャレンジを繰り返すのか。そこには数々の挑戦で厩舎力をアップさせてきた名トレーナーの信念があった。3日に安田記念の枠順確定する。
午前6時の調教開始から、程なく坂路に登場したカフェファラオ。坂路での最終追いは昨年のかしわ記念(5着)以来。馬場の外をスムーズに駆け上がり、4F54秒7~1F12秒5でまとめた。1週前にWコースで5F66秒2~1F11秒2と攻めており、これで十分。堀師は「先週の段階でしっかり仕上がっている。気持ちが高ぶるところがあるのでオーバーワークにならないように。十分に仕上がっている状態」と説明した。
カフェファラオはフェブラリーSを連勝中。ダートの適距離を使っていけば重賞Vを重ねていける。だが、あえて昨年の函館記念(9着)以来となる芝を使う。なぜか。そこには堀師の“挑戦する心”がある。
原点には香港を含めてG1を6勝したモーリスの存在がある。マイルで無双したが、2000メートルを勝てば種牡馬の価値はグッと上がる。16年安田記念で2着に終わると、陣営は秋の目標を天皇賞に定めた。中間、併せ馬で僚馬との距離をこれまで以上に詰め、折り合いを向上させる調教を辛抱強く繰り返した。結果は2着馬に1馬身半差つける完勝。スタッフは喜びを共有し、ノウハウを手にした。
昨年の函館での敗戦を指揮官はこう分析する。「距離と芝は問題なかったかな。(それより)小回りへの対応ができなかった」。芝自体は問題ないとの見立てだ。
実はアメリカンファラオ産駒、海外では芝でも良績を上げている。20年の米G1クイーンエリザベス2世チャレンジCS(芝9F)をハーベイズリルゴイルがV。20年仏G1クリテリウムアンテルナシオナル(芝1600メートル)はヴァンゴッホ。そして先月29日には仏G1サンタラリ賞(芝2000メートル)はアバブザカーブ。騎乗する海外通の福永も「血統的にも芝が合わないということはない。ダート馬によくある硬さはないし、芝でもという走りをしている」と語気を強める。
指揮官はレース直前まで工夫を施す。「チークピーシーズを、当日のメンタルを見ながら厚さを工夫して使用したい」。挑戦の先に栄光がある。堀師は今回も信念を貫く。