【有馬記念】仙波広雄の血統ノート③ ドゥラメンテ産駒2頭にチャンスあり

2023年12月19日 18:10

タイトルホルダー(22年6月撮影)

 24年目のリベンジなるか――。今年のリーディングサイアー1位、2位を占める「父ミスタープロスペクター系」は00年の初出走以来、有馬記念で未勝利。いったいなぜか。過去の出走を振り返り、種牡馬勢力図が一変したエポックメーキングな年に「初V」があるかを検証しよう。

 今年の有馬記念で、父ミスタープロスペクター系の有力馬はスターズオンアースとタイトルホルダー。 いずれもドゥラメンテ産駒。ドゥラメンテ自身は皐月賞、ダービーの2冠馬。21年夏に世を去ったので、5世代を残したのみに終わったが、活躍馬はまさに続出。父が見せていたスケールの大きさと勝負強さ、この父系全体に見られる万能性や継戦能力は大方の一流馬に、いろいろと形を変えて受け継がれているとみていい。リバティアイランド、ドゥレッツァといった超A級のみならず、ダート転身からJBCレディスCを勝ったアイコンテーラー、穴党の星ドゥラエレーデ(ホープフルS1着、UAEダービー2着、チャンピオンズC3着)、小倉巧者アリーヴォなど超A級に続くグループの個性が産駒の幅広さを裏付ける。

 有馬出走予定の2頭は超A級ドゥラメンテ産駒だ。タイトルホルダーは父のスケール感を受け継いだG13勝馬。有馬記念は過去2年5、9着と結果が出ていないが、3歳時は力負け、4歳時はフランス遠征帰りで万全に至らず。中山芝2500メートルでは日経賞を連覇しており、コース適性に疑いはない。前走ジャパンC(5着)は絶対ハナを譲らないパンサラッサがいて2番手になったが、今回はマイペースのハナが見込める。夏には「秋3走」を発表し、自他ともに有馬記念が最大目標と認めるところ。3回目の挑戦で一番の臨戦態勢。ラストランでミスタープロスペクター系に初の有馬記念Vを届けられるか。なおこの馬は、天皇賞・春を初めて勝った父ミスプロ系でもある。

 スターズオンアースは競馬場を問わない万能性、これまで馬券圏外のない安定感、2~3歳時8カ月6走した継戦能力の高さと、父系に見られる良さを詰め込んだ4歳牝馬。天皇賞・秋は態勢が整わず自重したが、そのぶんジャパンC3着に続いて秋2走目と鮮度も十分。久々の中山となるがコーナーワークが不得手ということもないタイプで、問題なくこなすだろう。母の父がミスタープロスペクター直子のスマートストライクでミスプロ4×3。父系初の有馬記念勝ちには、これぐらい濃い方がふさわしいかもしれない。 この2頭なら――。今年の有馬記念は、ドゥラメンテ産駒による「父ミスタープロスペクター系で初の有馬記念V」の機運が高まっていると言えよう。(仙波広雄)

○...ミスタープロスペクター 1970年1月28日、米国ケンタッキー生まれ。父レイズアネイティブ、母ゴールドディガー(母の父ナシュア) 現役時代は14戦7勝、重賞未勝利。75年クレイボーンファームで種牡馬入り。活躍馬を多数出したほか、「種牡馬の父」としても後継が多くいる大種牡馬。世を去る29歳のその年まで種付けをこなしたタフガイ。

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