【函館2歳S】キング姐さん導いた!エイシンディード 道営から転入初戦で重賞V

2025年7月21日 05:29

<函館2歳S>鮮やかに逃げ切ったエイシンディード(撮影・千葉 茂)

 レコードラッシュに沸いた今夏函館シリーズはビックリ仰天の結末が待っていた。勝ったのは2頭のレコードホルダーではない。なんと、9番人気。ホッカイドウ競馬出身で芝未経験のエイシンディードだ。今週は~るばる函館に初上陸したばかりの“キング姐(ねえ)さん”が華麗な技で魅了した。

 好スタートでハナへ。前半3F34秒3~後半3F34秒1の絶妙ペースで逃げまくり、迫るブラックチャリス、カイショーのレコードホルダー2頭を一気に引き離して勝負あり!初めて乗った愛馬はJRA転入初戦で重賞Vの快挙だ。

 殊勲のキングはニッコリと笑った。「とてもいいスタートを切って、逃げることができました。特にプランはなくて…。2歳の馬は経験もなくて何が起きてもおかしくないので、フレキシブルに対応しようと思っていました」。前日の土曜に函館で初白星を挙げたばかり。パドックで初めてまたがり、真っさらな状態でも機敏に操った。「途中でゆったり息を入れられたのが良かったですね。残り600メートルでギアチェンジもスムーズにできた。1200メートルはこの馬にピッタリだと思います」と振り返った。

 父ファインニードルは18年に高松宮記念、スプリンターズSのG1・2勝を挙げた名スプリンター。母エーシンエムディーは同じ大久保厩舎に在籍し、芝1200メートルで3勝と活躍した。小倉で見届けた大久保師は「キング姐さんがうまかったですね。オーナーがここを使いたいということで転入初戦。芝にも何回か入れて調教して、お母さんもうちにいたので芝も対応できるのでは…と思っていました」と巧腕を称えて喜んだ。

 年初の約2カ月の短期免許期間では、2月フェブラリーS(コスタノヴァ)で女性騎手初のJRA・平地G1制覇の偉業を成し遂げた。「日本のファンの方々が応援してくれるのがうれしいです。今回の短期免許も頑張ります」。今週は新潟に転戦し、関屋記念(カナテープ)に騎乗。残り3週は再び北海道に戻って札幌へ。冬に巻き起こったキング旋風は、日本の夏競馬でさらに熱さを増していく。

 ◆エイシンディード 父ファインニードル 母エーシンエムディー(母の父キングカメハメハ)23年5月8日生まれ 牡2歳 栗東・大久保厩舎所属 馬主・栄進堂 生産者・北海道浦河町の山田昇史氏 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金3334万1000円(戦績、賞金は地方含む) 馬名の由来は冠名+証書。

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