【鈴木正】唯一の牝馬に敢然◎の理由は

2021年10月28日 10:00

▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。先週はクラシック最終章、菊花賞。4番人気タイトルホルダーが逃げ切って波乱となった。そんな中、ただ一頭の牝馬ディヴァインラヴに◎を打ち、3連複1万4610円をしぶとく仕留めたのが鈴木正記者。敢然と指名した理由をここで紹介する。

 ◎が3着で「こう当てた!」と胸を張るのは少々気が引けるが、読者の方の参考になればと考えて、ここに記すこととする。これは!と感じたのは9月の木曽川特別の勝ち方だった。
 中京での2200メートル戦。3番手追走から直線、残り300メートルで早々と先頭に立った。だが、そこからアレレ?というシーンが。手前(軸脚)を戻してしまい、ラチに寄っていく。福永は左ムチでラチに寄りすぎないよう矯正したが、それでも追いにくそうだった。2着馬に猛追され半馬身差まで詰められた。ただ、白星はしっかりとつかみ、勝ちタイム2分12秒4もまずまず優秀だった。レース前、本馬場入場の際にカッカして、後肢でラチを蹴っていたことも後で分かった。アレレ?というシーンが複数あった分、その点を矯正できれば牡馬クラシックでも勝負になるとにらんだ。
 菊花賞は右回り。スムーズに手前を替え、ゴールまでキープできる可能性はある。あとはラチを気にする面をどう抑え込むかだが、6枠11番ならインに1頭置きながらレースを進められるだろうと読んだ。3000メートル走るのでイン1頭分のロスは大きいが、それでも平常心で走った方がいい。そして肝心のスタミナ。3000メートルをこなすかは分からないが、父は13年に不良馬場の菊花賞を勝ったエピファネイア。母の父ディープインパクトも菊花賞馬だ。何とか持つだろう。
 ここから先は“常識の壁”との勝負。牝馬が勝てば74年ぶりだという。データ的には、いの一番に振り落とされる馬に◎を打てるか…。実は記者にはトラウマがある。07年ダービー。牝馬ウオッカが参戦し、第一感は“勝っても何ら不思議ない”だったが、「一気の距離延長は無理」「ただ一頭の牝馬。イレ込むんじゃないの?」などと勝手な理由をつけ、馬券から無視した。その後のフィーバーはご存じの通りだ。今回、第一感でピンと来た牝馬に打たなければ悔いが残る。最後の最後は「えーい!」と勢いをつけて印を送信した。
 ◎ディヴァインラヴが直線で伸びかけた時は思わず声が出た。ただ、それは一瞬。タイトルホルダーの脚が止まりそうもないことが分かったからだ。伸びは見せるが、ムチに過剰に反応してフラつき、そのたびにスピードが落ちる。まだまだ子供なのだ。それでも何とか3着に踏ん張って馬券に貢献してくれた。ウオッカのトラウマに別れを告げ、思い出に残る菊花賞となった。

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