【田井】砂王テーオーケインズの”奇跡のバランス”とは?

2021年12月9日 10:00

 ▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。先週のチャンピオンズCの馬単1100円を◎-○でしっかりとゲットした田井秀一記者が登場。勝ち馬テーオーケインズの“奇跡のバランス”とは何か。ソダシはなぜ12着に敗れたのか。馬体面から解説する。

 土曜付の牧童対決の原稿は「楽々と抜け出してくる」と締めたが…。想像を超える楽勝劇だった。◎テーオーケインズが後続に6馬身差をつける独り旅。得意と自称するダート戦の数少ないG1なのに19年◎インティ3着、20年◎ゴールドドリーム2着と仕留め切れていなかったので、ホッとしたのが一番だ。
 馬体のつくりは砂血統には珍しい脚長モデル体形。火曜付の「達眼」馬体診断で鈴木康弘元調教師が「ダートよりも芝が合いそう」と指摘するほど。重心が低いパワー型が活躍するダートでは異色の存在と言える。芝馬のようにシャープな体つきのくせに、トモ(後肢)の筋肉量は一流ダート馬のそれ。切れとパワーを併せ持つハイブリッド馬体だ。
 屈強な筋肉は父シニスターミニスターから。高速ダートに強いシアトルスルー系(米国由来のナスルーラ系)の特長を余すことなく受け継いだ。一瞬で抜け出したスピードを生み出すスラッと長い脚は、芝で活躍した母の父マンハッタンカフェから。父系と母系が良さをつぶし合うことがよくあるが、テーオーケインズはまさに“いいとこ取り”。奇跡のバランスで体が成り立っている。
 牧童対決の再掲となるが、今後も砂が深いダートコースではゴリゴリのパワー型に後れを取ることがあるだろう。前走の金沢開催のJBCクラシック(4着)がまさにそれ。中央の競馬場のダートは砂厚9センチなのに対し、金沢は10センチ。しかも、特に砂が深かったインコースからのスタートで大きく出遅れた。前走がいい煙幕になれば…と期待したが、結局1番人気。皆さん予想がお上手ですね。ちなみに南関東各場の砂厚は中央と同等。状態さえ維持できれば、今回のパフォーマンスを再現できるのでご安心を。
 最後にソダシについて。ワクワクさせてくれた砂挑戦。毎週金曜配信中のスポニチYouTubeチャンネル「スポウマチューブ」でも指摘した通り、2歳時はゴリゴリのダート馬のような体つきをしていたが、芝のレースを使うごとに血統を超え、体がどんどんシャープになっていった。ダート戦を続けて使い、砂馬らしい筋肉ボディーに戻れば“リアル二刀流”は実現可能。その適応力が、この白毛の名馬にはあると思う。もちろん、芝に戻っても応援するが、ダート好きとしてはもう数戦、こちらで頑張ってほしい。次は印を打つ。 (田井 秀一)

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