【梅崎】ケントク信ずべし!?5番人気ジオグリフ本命で3連単3万円超的中
2022年4月21日 10:00
▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。先週はメイン皐月賞で5番人気ジオグリフに◎!2、3着にも厚い印を回し、◎▲○で3連単3万2840円をゲットした梅崎晴光記者がベテランの味を見せた。行きつけの酒場仲間に解説するスタイルでジオグリフ推奨の理由と今後も使える“必勝術”を教えてくれた。
ケントク信ずべからずと書いたのは文豪、菊池寛だった。競馬好きが高じて馬主になった氏が著した「日本競馬読本」(1936年発行)の一文である。ケントク買いとは馬の能力ではなく語呂合わせなどを基にした馬券の買い方。菊池大先生は「ケントクで馬券を買っている人があるとすれば、これは甚だしい邪道」と厳しくいさめている。
「でも、ケントクを信じて正解の時もあるぜ」。馬券親父の隠れ家として知る人ぞ知る銀座路地裏の小さな酒場「寓話」で一杯やっていると、皐月賞の当たり馬券でひと息ついた常連・金城がえびす顔で店に現れた。重たそうにぶら下げているのは、ウクライナ国旗の青と黄色でデザインされたラベルが付いた数本のボトル。「祝い酒だ。土産に持って帰ってくれ」とこちらに1本差し出した。売り上げの一部がウクライナの人道支援のために寄付されるらしい。
このラベルと同じウクライナ国旗の黄色を基調にしたチューリップのジオグリフ(地上絵)が福岡県直方市の河川敷に完成したのは13日の朝。馬のジオグリフが追い切りを行った直後だった。地元観光協会の有志が15万本のチューリップの花びらを遠賀川の岸辺に敷き詰め、ロシアの侵攻に苦しむウクライナの平和を願った。「ジオグリフが勝つって暗示だぜ。当たったら義援金に払い戻しの2割だ!」と誓った金城。ウインズ銀座で払い戻しを手にすると、築地の中央区役所に設置された日本赤十字社のウクライナ救援募金箱に直行した。
「地上絵のおかげだぜ。ウクライナはひでえことになってやがるけど、競馬親父にできるのはチャリティー馬券とチャリティー酒ぐれえだもんな」と金城。「梅ちゃんもケントク買いなの?予想のプロなら根拠もあったんでしょう?」。女将がチャリティー酒をグラスに注ぎながら尋ねてくる。皐月賞でジオグリフ(5番人気)は同厩舎のイクイノックス(3番人気)の陰に隠れるように人気の死角になっていた。「同一厩舎の2頭出しは人気薄を狙え…なんて手アカにまみれた格言を持ち出すんじゃねえだろうな。ケントク買いと大差ねえぜ」と金城は鼻で笑うが、他にも根拠はある。昨年の札幌2歳Sでは、最後方からコーナーごとに差を詰めてノーステッキのまま4馬身突き抜けた。札幌の小回りでまくりを打てる正確なコーナリングは中山の小回りでも大きな武器になる。直線を待たずに4角手前で外から一気に仕掛けた皐月賞はコーナリング巧者の面目躍如である。
共同通信杯では外から差しきったダノンベルーガより1キロ重い57キロを背負いながら狭い馬群の間を抜けてきた。敗れて強しの2着。重量を支えるキ甲が長い馬だから57キロを背負ったダメージも残らないと踏んだ。デビュー時から懸念されていた喉鳴りの悪化を防ぐ良薬は高湿度。皐月賞ウイークは週半ばから雨が続き、レース当日もじめつくような曇天…。「このハチミツみたいに喉に優しい気候がハチミツみたいに甘い馬券をもたらしたってわけね」。女将がハチミツを金城の酒に垂らした特製カクテルでささやかな祝杯を挙げたのだった。
(梅崎 晴光)