【仙波】大波乱の高松宮記念 的中への3ステップ

2023年3月30日 10:00

 ▼木曜日のテーマは競馬。前週にヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。大波乱に終わった高松宮記念で、なぜ12番人気ファストフォースに◎を打てたのか。気になるところだが、◎△で馬単2万4330円を的中した仙波広雄記者は「このレースは人気薄に◎を打つ理由よりむしろ、人気馬に◎を打たなかった理由の方が重要」と語る。

 高松宮記念は「荒れる」と踏んでいた。まず、現在のスプリント路線には絶対的な王者がいない。前年の勝ち馬ナランフレグは安定して戦線をリードするタイプではなく21年スプリンターズS勝ち馬ピクシーナイトは休み明け。他にG1馬はグレナディアガーズがいるだけで、こちらも現状はさえない。

 こうしたメンバーの背景を前提として、記者が印を打つ段階でしたことは、上位人気が想定される馬のウイークポイント探し。我ながら性格が悪いが…。

 1番人気メイケイエール 重賞6勝と能力はメンバー最上位だが、G1では【0・0・0・5】(レース前、以下同)。展開に注文がつくので底力勝負となるG1は苦手。無印。

 2番人気ナムラクレア G1以外【4・2・2・0】、G1【0・0・1・2】。シルクロードSは完勝でシンプルなスピード争いでは最上位。ただし出入りが激しい流れではパフォーマンスを落とす。押さえ(△)。

 3番人気アグリ 4連勝で臨んだが1400メートル中心。1200メートル【0・0・0・1】とスプリント経験が少ない4歳馬。そもそも高松宮記念は4歳より5歳が優勢とキャリアが問われる傾向。無印。

 意地悪く難癖を付けていくと、上位人気馬を想定した馬がことごとく危ない。4番人気以降は事前に想定するのすら難しい。ここでようやく◎を打つ作業に至るが、印を打つ金曜時点で相当の道悪になる見込みだった。おそらく14年コパノリチャードが勝った時のような馬場。当時の勝ち時計は1分12秒2。ここで各馬の持ち時計を見る。

 遅い時計の経験を探す?と思われそうだが、違う。超高速馬場でのパフォーマンスを重視した。パンパン良の超高速馬場と、ズブズブ重不良の超低速馬場は、1周して適性が近くなる…が持論。

 この持論はタップダンスシチー(03年ジャパンC勝ち馬)を取材した時に構築したもので、同馬はレコード勝ちが3回もあるのに、ズブズブ重のジャパンCを勝った。たぐるようなフットワークで、馬場をしっかり“つかむ”という意味で超高速馬場にも超低速馬場にも対応していた。

 そこから浮かび上がってきたのが1200メートル1分6秒0で一時、日本レコードを保持していたファストフォース。フットワークも軽さより力感のあるタイプ…ということで◎。

 勝ち時計は1分11秒5。通常の馬場におけるスプリント適性は上位人気馬に譲る。ただ超高速/超低速適性では分があったように思う。◎は会心。一方で3着トゥラヴェスーラが抜けちゃったのは無念…。

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