英国の「日曜夜開催」は導入見送りに

2024年5月23日 05:30

 今年1月から3月にかけて、英国内の5つの競馬場で6回にわたってトライアル開催が行われた「日曜日のナイター開催」は、本格導入が見送られることになった。統括団体のBHAが20日に明らかにしたものだ。

 より多くの競馬ファンを獲得することを目的として、BHAが24年に向けて新たに打ち出した施策の一つが日曜の夜開催で、BHAは平日の夜開催に比べて15%から20%多い馬券売り上げがあることを期待していた。トライアル開催に組まれたレースの平均出走頭数は10・6頭で、馬券ファンの興味をそそる番組が提供されたものの、実際の売り上げはむしろ平日より3%ほど低い水準にとどまり、主催者の思惑は大きく外れることになった。1人あたり150ポンド(約3万円)の超過勤務手当を支払うなどの対策をとってはいたものの、労働強化となった厩舎スタッフたちの評判も芳しくなく、トライアル開催が終了した段階で、調教師、騎手、厩舎スタッフのそれぞれの団体から、日曜夜開催の本格導入には反対する旨の意見書がBHAに寄せられていた。日曜は安息日で、家族と過ごすものという習慣の根付いている国には、そぐわない試みだったようである。 (競馬評論家)

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