レーベンスティール 「トウカイテイオー一族」のトラウマ一掃

2024年10月23日 05:30

 当コラムのタイトルは時に情緒的かつ非科学的な妄想に走る拙稿に対して、スポニチ編集部から頂戴した免罪符のようなものと理解している。今回は現役時同様、G1ステージに奇跡のような復活を遂げた「母の父トウカイテイオー」レーベンスティールへの極めて私的なエールである。

 サンデーサイレンス産駒の登場から30年。旧来の国産サイヤーラインはサクラユタカオー~サクラバクシンオーの快速系を除いて完全に駆逐されてしまった。3冠馬シンボリルドルフの初年度産駒として春の2冠で父子制覇を果たし、国際G1元年のジャパンC、結果的にラストランとなった有馬記念での大復活と、ある意味でコントレイル的でもありイクイノックス的存在でもあった名馬トウカイテイオーも例外ではなかった。マイルチャンピオンシップのトウカイポイント、かしわ記念のストロングブラッドのG1、Jpn1勝ち牡馬2頭も種牡馬の道は開けず、希少種保全的プロジェクトで20年に種牡馬となったクワイトファインが最初で最後の後継となっている。

 母の父としてのトウカイテイオーは19年の中山大障害優勝馬シングンマイケルを出したが、レーベンスティール以前の国内平地重賞勝ち馬は15年サウジアラビアロイヤルCのブレイブスマッシュまでさかのぼらなければならない。ちなみにブレイブスマッシュはオーストラリアに移籍してG12勝を挙げ、種牡馬としてもすでに重賞勝ち馬を出した。母の父としてのしたたかな生命力は、ステイゴールドとのタッグで蘇生したメジロマックイーンに通じるパーソロン系の独自性といえるかもしれない。

 秋の天皇賞はトウカイテイオーが92年に1番人気で7着に敗れ、その父シンボリルドルフが85年に同じく1番人気で、13番人気ギャロップダイナに差し切られた因縁のタイトル。トウカイテイオーの血を引く馬の出走は世紀をまたいでレーベンスティールが初となる。父の敗戦から32年、トラウマを一掃する快走を期待している。 (サラブレッド血統センター)

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