【有馬記念】ディープボンド 母父の主役世代交代

2021年12月22日 05:30

 史上5回目となる「グランプリきょうだい対決」、奇跡のようなタイミングで実現した種牡馬バゴのG1・2頭出し等々、血統面の切り口からも話題満載の有馬記念だが、地味ながら見逃せないテーマがディープインパクト産駒の不在。歴代ダービー馬が棚卸し的に集結したジャパンCから一転、芝G1では極めて異例の“不戦敗”である。

 もちろんその背景には大きな成果を上げた香港国際競走への戦力流出があったのだが、一方で中長距離G1予備軍の層が薄くなってきたことも否定できない。13年、当時5歳の初年度産駒ダノンバラード(15着)を皮切りに8年連続で産駒を送り込み、2勝2着1回3着2回と、勝っても負けても存在感を示してきた不動のチャンピオンサイヤーも次世代にバトンを渡す時期が確実に近づいているということだろう。現実に今回は「母の父」としてアリストテレス、キセキ、ステラヴェローチェ、「父の父」としてアカイイト、ディープボンド、モズベッロと、大量6頭のエントリー。対立軸はいうまでもなく“非ディープインパクト”の2強、エフフォーリアとクロノジェネシスだ。

 キズナ産駒ディープボンドの母の父は、当欄でも繰り返し取り上げた私選の“年度代表ブルードメアサイヤー”キングヘイロー。ディープインパクト父系の世代交代のエンジンとして申し分ない。(サラブレッド血統センター)

 ▽ブルードメアサイヤー ブルードは「(卵を)抱いて温める」が原義で、メアは「5歳以上の牝馬」のこと。ブルードメアとは「繁殖(可能な)牝馬」。サイヤーは種牡馬で、ブルードメアサイヤーはつまり「母の父」。BMSと略す。サラブレッドの遺伝では、父の影響が最も大きいが、時にBMSがそれ以上に存在感を示すこともある。

 《サンデー系種牡馬次々退場》今年の有馬記念出走予定馬16頭で、父系はサンデーサイレンス系7頭。以下キングカメハメハ系4頭、エピファネイア産駒2頭、バゴ産駒2頭、ハービンジャー産駒1頭。昨年と一昨年はいずれもサンデー系種牡馬の産駒が11頭いた。ステイゴールド、ディープインパクト、ハーツクライと大物サンデー系種牡馬は次々退場。キングカメハメハは次代が充実。さらにエピファネイアが急激に伸びてきた構図が有馬の父系分布から分かる。

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