【スプリンターズS】ママコチャ 短距離馬として伸びしろ随一
2023年9月27日 05:30 G1に昇格した90年以降のスプリンターズSで複数の優勝馬を出した種牡馬は、サクラユタカオー(93、94年サクラバクシンオー)、サンデーサイレンス(02年ビリーヴ、03年デュランダル)、クロフネ(08年スリープレスナイト、11年カレンチャン)、キングカメハメハ(12、13年ロードカナロア)、アドマイヤコジーン(07年アストンマーチャン、14年スノードラゴン)、スウェプトオーヴァーボード(16、17年レッドファルクス)の6頭。今回はこのうち、3頭の血脈を併せ持つ馬のエントリーがある。父クロフネ、母の父キングカメハメハ、祖母の父サンデーサイレンスという血統の4歳牝馬ママコチャである。
ママコチャは18年限りで種牡馬を引退したクロフネの血統登録38頭を数える最終世代の1頭。祖母シラユキヒメから広がる白毛一族のアイコンとなったマイルG13勝のソダシの全妹で、鹿毛に出たのはすなわち、理論上50%の確率で遺伝する白毛因子を母ブチコから継承しなかったことを意味する。ちなみに母の半姉ユキチャンの孫にあたる一昨年の4着馬にして昨年の1番人気、三度目の正直に挑むメイケイエールもまた、優性遺伝の白毛因子が代を経て完全に消滅した鹿毛。遺伝学的な根拠はさておき、G1級のスプリント能力には白毛と引き換えという面があるのかもしれない。
2着を確保した前走の北九州記念はデビュー以来、初の1200メートル戦だった。実績的には見劣りする重賞未勝利馬だが、短距離馬としての伸びしろはメンバー随一だろう。“走るスプリンターズS血統史”の面目躍如の快走を期待したい。(サラブレッド血統センター)