ピコチャンブラック本番でも驚異の“血中濃度”

2025年3月19日 05:30

 スプリングSはキタサンブラック産駒ピコチャンブラックが早めのスパートから押し切って重賞初制覇。04年の優勝馬である祖父ブラックタイド、15年の優勝馬である父に続く父系3代の同一重賞制覇を果たした。

 ちなみに父系3代の同一重賞制覇は、父系祖父ディープインパクト、父サトノダイヤモンドのサトノグランツが優勝した23年神戸新聞杯以来。唯一のG1級競走3代制覇として有名なメジロアサマ、メジロティターン、メジロマックイーンの天皇賞は、厳密に言えば秋(東京)と春(京都)の混成なので、同一重賞というくくりでは日本競馬史上2度目のレアケースとなる。

 週末の予想コラムでも触れたように、ピコチャンブラックは母の父ネオユニヴァースも03年のスプリングS優勝馬。ネオユニヴァースは父として09年の優勝馬アンライバルドを出した。そのアンライバルドの全妹にあたるのがピコチャンブラックの母トランプクイーン。勝てば官軍的な後講釈をご容赦いただきたいが、ピコチャンブラックは父系だけでなく、母系にもゆかりの血脈が重層的に組み合わされた“スプリングS縛り”ともいうべき配合の産物だったのである。

 伯父にあたる前記アンライバルドは、続く皐月賞でも父子2代制覇を果たした。07年の皐月賞馬ヴィクトリーとは、96年日本ダービー馬フサイチコンコルドの母でもある名繁殖バレークイーンを祖母に共有する、いとこの間柄になる。“血中濃度”は本番でも脅威だ。 (サラブレッド血統センター)

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