シーザリオ代を経ても衰えない遺伝力

2021年3月3日 05:30

 05年のオークス馬シーザリオ(19歳、父スペシャルウィーク)が2月27日、子宮周囲の動脈断裂により急死した。年齢的にもこの1、2年が生産部門での集大成と思われただけに惜しまれる。先週の当欄でも直子リオンディーズの産駒ピンクカメハメハのサウジダービー制覇を取り上げたばかり。日本調教馬唯一の米G1(アメリカンオークス)ウイナーでもある名牝は、母として残した業績も記録的と言えるものだった。

 シーザリオは15年の繁殖生活で現1歳のロードカナロアの牝駒まで12頭の血統登録産駒を残し、その中から13年の菊花賞馬エピファネイア、19年の皐月賞馬サートゥルナーリア、そして前記15年の朝日杯フューチュリティS勝ち馬リオンディーズが出た。複数のG1馬を産んだクラシックホースは過去にアグネスフローラ、ベガ、エアグルーヴがいたが、3頭は史上初で、現3歳の有望株ルペルカーリアがさらに記録更新する可能性もある。他にも現役準オープンのファーストフォリオなど9頭がJRAで勝ち星を挙げており、出走馬で唯一未勝利だったロザリンドはG22勝のオーソリティの母となっている。

 代を経ても衰えない遺伝力はエピファネイア、リオンディーズ兄弟の種牡馬成績によっても実証されている。度々引き合いに出してきた20世紀の名牝アーバンシー(ガリレオ、シーザスターズの母)のように、“21世紀の名牝”シーザリオは名馬の血統表の中で生き続けることだろう。 (サラブレッド血統センター)

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