【仙波】トレンド読んだ的中法公開

2021年5月13日 08:00

 競馬記者として20年。経験はそれなりにあるが、競馬予想では最新の傾向を押さえておかないと的中がおぼつかない。昔との違いに戸惑いもあるが、レースは日々進化しているのだ。

 近年のG1における大きなトピックはステップレースやトライアルレースの地位低下だと思う。育成牧場のレベルが上がり、トレーニングセンターに入厩した時点で仕上がっているので、休み明けでG1に出て涼しい顔で勝っていく。G1の前に「ひと叩き」する必要のない一流馬が増えた。目標レースの1カ月ほど前に設置されているトライアルは、賞金的に出走が確定している馬には意義が薄れている。

 ◎シュネルマイスターはNHKマイルCのトライアルではなく、「皐月賞トライアル」弥生賞ディープインパクト記念で2着。しかし皐月賞には向かわずNHKマイルCへ。弥生賞がある意味"トライアル"であったことは間違いない。陣営は2000メートルの皐月賞がいいか、1600メートルのNHKマイルCがいいか、弥生賞を試金石とした。その結論が皐月賞をスキップしてNHKマイルC。皐月賞出走の権利を持ち、馬の出来が問題ないのに…だ。一昔前なら考えられないが、これがレース選択の最新トレンド。同馬を管理する手塚貴久厩舎はフィエールマンで休み明けG1を3勝しており、時流の最先端を行く戦略家。その結論は信頼に値する。

 ○ソングラインは桜花賞で致命的な不利を受けて15着。こちらは牝馬同士のオークスより、距離適性のあるマイルを選択。こちらの方が勝ち目があると陣営が見立てたものだろう。現代競馬は陣営の思惑を読むことが的中の重要な鍵となる。今回の予想では"非トライアル組"を重視、トライアル組の評価を下げた。

 レースでは池添騎乗のソングラインが完璧なレース運び。シュネルマイスターはいい手応えだが届かないか、と思わせて鼻差かわした。VTRを見て驚いた。シュネルマイスターのルメールは直線入り口でひと呼吸、追い出しを待っていた!その分、ゴール前でひと伸びしたのだと思う。△はトライアル組とはいえ1番人気グレナディアガーズでこれを押さえるのは当然。陣営の思惑を読み切り、名手のテクニックに酔って3連単2万1180円。至福のひと時だった。 (仙波 広雄)

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