【梅崎】引退レース3冠馬の勝利を確信した瞬間は

【梅崎】引退レース3冠馬の勝利を確信した瞬間は

2021年12月2日 10:00

▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。先週は何と言ってもジャパンC。単勝1・6倍の圧倒的1番人気に推されたコントレイルが引退レースを飾った。3連単は1780円にとどまったが、これを◎○▲の大本線で的中させたのがベテラン梅崎晴光記者。真っ青な空に航跡を描くかのように動いた最終追いで勝利を確信した。

 白い坂道が 空まで続いていた…。

 ジャパンCウイークの木曜、銀座の路地裏に小さな看板を掲げる酒場「寓話」で刷りたてのJC出走表に目を通していると、おなじみのユーミンナンバーが流れてきた。「私の大好きな曲なの」。女将が小麦色のCDジャケットをカウンターに置いた。「ひこうき雲」(作詞・荒井由実)。英語で飛行機雲(コントレイル)と名付けられた3冠馬が最終追い切りで見せたのも馬名通りの動きだった。1年半前と変わらない、空に航跡を描くような走り。本物の飛行機雲に歓声が上がった昨春と同じ飛ぶがごとき軽やかなストライドだ。

 昨年のダービーウイークの金曜。酒場でうたた寝をしていた常連の金城が飛行機のエンジン音に目を覚ました。「あの馬が空を飛ぶ夢を見てたぜ」。寝ぼけ眼をこすって窓から上空を見上げると本物が浮かんでいた。コロナ禍と闘う医療従事者への感謝を示すために飛行したブルーインパルス編隊が青空に描いた白い筋。「宙を舞ったディープインパクト晩年の傑作はダービーでも空を舞うぜ」

 ブルーインパルスの飛来から2日後の大一番では金城の夢が正夢になった。東京の直線を滑走路に見立てて加速していく。両耳を倒して力を振り絞るべき直線坂上では他馬とは逆に両耳を前方へ立てて、ソラまで使った。馬がフワッと気を緩めた時に見せる余裕のしぐさ。地を走るだけでは物足りず、離陸しようとした。

 そして舞い上がる 空に憧れて 空をかけてゆく…
 JCウイークの木曜、酒場で「ひこうき雲」に耳を傾けながら女将が言った。「コントレイルはね、エープリルフール(4月1日)生まれだから空に憧れてウソをついたんだわ。父譲りの並外れた四肢の他に翼も持ってるって」。翼を広げる天馬のようにフワッと舞い上がろうとする飛行機雲。ダービー時と同じストライド、同じステージでの最終滑走なら負けようがなかった。
 右に見える競馬場 左はビール工場 この道はまるで滑走路…(「中央フリーウェイ」作詞・荒井由実)。JC当日、金城が中央高速の下り車線を走っていると、右手から最後の飛行機雲が立ち上がってきた。青空に白い大団円を描きながら。 (梅崎 晴光)

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