【鈴木正】先輩の教え「3条件」超える馬で3連単1万1440円的中

2022年3月17日 10:00

 ▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。先週は重賞3鞍の中からフィリーズレビューの3連単1万1440円を当てた鈴木正記者がクリーンヒット。馬自身の勝負根性、阪神1400メートルの特性、藤原英昭厩舎の持ち味まで、全てがかみ合ってのVだと看破した。

 競馬担当になりたての頃。予想に苦しんで無駄に時間を費やしていると、先輩記者から貴重なアドバイスがあった。印を回すべき馬は3種類しかいない。(1)前走を勝って昇級してくる馬、(2)前走2・3着付近で惜敗した馬、(3)前走で不利を受けたり得意条件とは異なったため思わぬ着順に沈んだ馬…。確かに、この3条件のどれかに当てはまる馬から勝ち馬が出る確率は非常に高い。しかし、今回のサブライムアンセムは、この3条件をさらに超える馬だった。「前走で不利を受けたが勝った馬」だ。

 2月5日の未勝利戦1着のパトロールビデオを見ることができる方は、ぜひ再確認してほしい。サブライムアンセムは2角付近で首を上げるシーンがあって、まず下がり、最後の直線では残り50メートルで内からぶつけられ、外へと飛ばされながらも諦めずに伸びて肉薄。1位入線馬の降着により白星をつかんだ。ゴール前の不利はなかなか厳しく、あの飛ばされ方から再度、巻き返せるのは尋常な勝負根性ではないと分かるだろう。

 阪神1400メートルの経験が2度あることも買える材料だった。ともに牡馬相手の未勝利戦で2着。昨年11月の未勝利戦は道中で力みながらも最後は首差。力はあると感じた。また、阪神1400メートルは得意、不得意がはっきりしたコース。最近ではダノンファンタジーがこのコースで重賞2勝(20年阪神カップ、21年スワンS)。かつてのサンカルロはこのコースで重賞3勝、リアルインパクトも阪神カップ連覇をマークした。リピーターが発生しやすいコース。2度2着のサブライムアンセムも適性はきっとあるとにらんだ。

 この馬を買えなかった人は、こんな先入観がなかっただろうか。新馬戦4着。続く未勝利戦は何と11着。未勝利突破に6戦を要した馬。G2を勝つほどの力があるのだろうか…。しかし、藤原厩舎は違うのだ。もちろん昨年のダービー馬シャフリヤールなど、新馬戦を制してG1馬へと飛翔した馬も多いが、エイシンフラッシュ(10年ダービーなど)、ストレイトガール(15年スプリンターズSなど)、エポカドーロ(18年皐月賞)などは新馬戦で負けている。藤原厩舎の新馬戦の勝率は平均よりも高いが、それでも新馬戦には、さほど重きを置いていない。

 近年のフィリーズレビュー勝ち馬はなかなか桜花賞で好走しないが、サブライムアンセムはちょっと面白いかもしれない。藤原厩舎はレースのスケジュールに合わせて馬を無理させるようなことはせず、じっくりと成長を待つ厩舎だからだ。未勝利戦、フィリーズレビューの連勝が馬の急成長を物語っているのだとすれば…、チャンスはあるように思う。

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