【坂田】名手の一言きっかけに導き出した万馬券
2023年2月16日 10:00
▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。重賞が3競走行われた中、共同通信杯の3連単1万3800円を仕留めた坂田高浩記者がヒーロー。騎手コメントでの気づき→厩舎取材→実力確信→的中という、記者の手本のような流れで万馬券へとたどり着いた。
ファントムシーフが今年のクラシック候補だと本気で意識したのは、デビュー3戦目のホープフルS(4着)の後だった。2歳G1で2番人気に支持されるくらいだから、その時点で世代トップクラスなのだが、印はあくまで押さえの△だった。恥を承知で言うなら何となく印を回しただけ。新馬戦→野路菊Sの連勝にもピンとはきていなかった。ホープフルSも、突き抜けるまでの脚はないな…と思っただけ。スタートで遅れ、直線で追い出しを待たされたことを踏まえても…だ。
ただ、レース後の福永の談話が気になった。「自分が乗った1週前追い切りでもう少しやっておくべきでした。来年はクラシック戦線の主役を張れるくらいの馬ですから」。あの名手がそこまで言うのか。レース翌日、栗東で調教役の梛木助手を訪ねた。せきを切ったように言葉が返ってきた。「勝っておきたかったです。もっと僕らにできたことがあったはずなんです。調教もそうだし、競馬当日でも何かできたことがあった」。言葉の端々に悔しさがにじみ出ていた。調教の強度は正しかったのか。レース当日のケアは行き届いていたか。何が正解だったのかを自問自答していた。「来年は勝負の年。頑張ります」。言葉は最後まで熱かった。いかにこの馬が大物か、どれだけクラシックを狙える逸材なのか。ひしひしと伝わってきた。
だから共同通信杯の勝ちっぷりには驚いていない。スタートを決め、立ち回りは素晴らしかった。陣営は距離適性は2000メートル以上とみている。皐月賞も合うだろうが、それ以上に適性が高いのはダービーか。
取材現場には言葉があふれ、新聞、ネットにも言葉と情報が山積みになっている。だが、そこから今回の福永、梛木助手のように、正解(万馬券)へと導いてくれる、熱のある言葉を探せるかが的中への鍵だと痛感した。