【仙波】実績に惑わされなかった「線の予想」
2023年3月23日 10:00 ▼木曜日のテーマは競馬。前週に高配当をヒットした記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを検証する。4重賞から阪神大賞典を的中した仙波広雄記者が手を挙げた。競馬は線で予想せよ。◎ジャスティンパレスに至る思考過程を明かした。
阪神大賞典をこう当てた…と言っても2→1→5番人気で決まって3連単3860円。3連単を印通りベタ買いすれば取って損になる本命決着。ドヤ顔で◎ジャスティンパレスの理由を書くレースではないので、少し視点を変えて記者の思考法をお伝えしたい。
一年中、予想する立場として、心掛けるのは「線の予想」だ。今回、実績的に最上位は菊花賞と有馬記念で2着のボルドグフーシュ。末脚の指標となる「上がり3F(残り600メートル)」の数字は7戦連続でメンバー最速を叩き出していた。下馬評で今年の阪神大賞典は「3強」と言われたが、ふたを開けてみるとボルドグフーシュの単勝オッズが1・6倍。売り上げにおけるシェア47・5%。延べ人数にすれば、だいたい2人に1人は勝つと思っていたわけで、なぜボルドグフーシュに◎を打たなかったかを説明したい。
今年の阪神大賞典は走る前から「スローペース」になることは明白だった。逃げ馬がアフリカンゴールド1頭だけで競る相手が不在。
実際のレースはスローもスロー。超スローの部類。出脚のあまり速くないアフリカンゴールドを皆がどうぞどうぞで行かせて、かつ外枠のディープボンドが位置を取りに行った上で2番手を確保。好枠のジャスティンパレスが3番手。ボルドグフーシュも6番手といつもより前。内回りコースのみを使用してコーナー6回の阪神芝3000メートルは、減速するポイントが多くて仕掛けどころも少なくないが、上位人気馬がその場でにらみ合ったものだから隊列もほぼそのまま。
スローを読んでいつもの後方待機でなく中団を選んだボルドグフーシュ川田の手腕はさえていたが、それでも勝ち切るには至らず。前にいたのが上がり勝負に強いジャスティンパレスだからだ。ジャスティンパレスは直線でアフリカンゴールドに前をふさがれたが、スッとコースを切り替えて突き抜けた。位置取りもコース取りも機敏で器用。昨秋の神戸新聞杯でもジャスティンパレスが1着でボルドグフーシュが3着。スローの上がり勝負ではもとより適性が上。ここでの先着はまさに読み通り。
さて、今回はスロー確実でジャスティンパレスをボルドグフーシュより上にみたが、本番の天皇賞・春はどうか。タイトルホルダーとアスクビクターモアが出てくれば、スローの上がり勝負にはならない。つまり阪神大賞典の印の序列は天皇賞・春で逆転する…と今から決めつけるわけではないが、その公算は小さくない。願わくば人気の序列、つまり本番ではボルドグフーシュが人気を落とす次第になれば、「線の予想」を心掛ける者にとっては会心だが、そこまでは望むまい。
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