【梅崎】馬にも旬の時期あり ダービーの甘~い穴馬券は?

2023年5月25日 10:00

 ▼木曜日のテーマは競馬。前週にヒットを放った記者が「この馬券こう当てた」で的中レースを振り返る。今週のヒーローは、東京土曜(20日)のメイン・メイSで3連単8万1410円を◎△☆でズバリ的中させた東京の梅崎晴光記者。騎手の指示に従おうとしない、扱いづらい馬でもアッと驚くような大穴を演出することがある。そんな兆候を感じ取ったようだ。

 騎手はハミを通じて騎乗馬に指示を伝えるが、そのハミに従おうとしない馬もいる。指示を無視して頭を上げたり、引っかかったり…。そういう口向きの悪い馬を「硬口馬」と呼ぶ。力の半分も出せずに大敗することが多いが、時々、騎手の指示通りに走って大穴をあけるから侮れない。

 サクラトゥジュールという硬口馬を本命に推した先週土曜(20日)の東京11R・メイS。狙い通りに7番人気の同馬が差し切り、4番人気の△マテンロウスカイが逃げ粘って2着。3番人気☆エピファニーが差を詰めて3着。◎△☆で3連単8万1410円の大当たりとなった。

 「自慢話よりも、いくら獲ったか白状しちゃえよ。俺も口がかたい、硬口人間だから誰にも言わねえぜ」。オークスの晩、馬券親父の隠れ家として知る人ぞ知る、銀座路地裏の酒場「寓話」で祝杯を挙げていると、常連の金城が当たり馬券にちなんだハニー・ウイスキー・フィズ(カクテル)をお相伴にあずかりながら、こちらの肘をつついてくる。

 オークスも安めながら本命リバティアイランドから12番ハーパーへ大本線で馬単ゲット。その的中祝いに女将が作ってくれたのが、オールドバーボンのパイオニア、12年物のIWハーパーにヤマザクラから採取したハチミツ(桜蜜)をたらしたこの特製カクテルだった。「帯封で財布がはち切れそうになったらしいわよ。悪銭身に付かずっていうから、なくなる前に何か買ってもらおうかしら」と女将がカウンターの奥から笑顔を見せる。

 硬口のサクラトゥジュールもはち切れそうになるほど青鹿毛の馬体に張りが増していた。くしくも20日は「世界ミツバチ・デー」。名は体を表すというが、今が旬のヤマザクラから採取したハチミツ(桜蜜)のような甘い穴馬券を運んでくるのは満開のサクラしかない。馬にも旬の季節がある。つぼみを固く閉ざした2月の前走・東京新聞杯(14着)とは一変した余力あふれる動きも今が買い時と思わせた。

 「ダービーにもハチミツみてえに甘い馬券を運んでくる硬口馬はいるのか?」。ハニー・ウイスキー・フィズの鯨飲でヤマザクラの花弁みたいに赤みのさした顔を向ける金城。ダービーの硬口馬はサクラトゥジュールと同じ堀厩舎、騎手も同じレーンが手綱を取る…。「馬名教えて。私も買うわ」。女将がカウンターの向こうから身を乗り出してきた。府中のケヤキの下の2匹目のドジョウ。その名は…。 (梅崎 晴光)

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