【出田竜祐】馬単仕留めた「データの中から“いいとこ取り”戦法」
2024年10月24日 10:00 木曜のテーマは競馬。前週に会心ヒットを放った記者が、的中へのプロセスを振り返る。今週はクラシック最終戦の菊花賞で馬単2000円を仕留めた東京本社・出田竜祐が担当。今月から競馬班に加入した44歳のオールドルーキーは“開幕週”から絶好調だ。ボート、競輪、オートレースで鍛えた勝負勘がさえ渡っている。大混戦を鮮やかに見抜いた眼力をのぞいてみよう。
菊花賞は馬単2000円の的中でドヤるわけにはいかない。ただ、終面での予想披露で“騎乗”機会2連続的中。我ながら誇らしい。ここぞの勝負勘をご覧いただけたか。
競馬班に加入して3週間が過ぎた。美浦トレセンで追い切りをチェック。広すぎるわ、馬の数が多すぎるわで先々週の取れ高はさっぱり。それでも先週は多少慣れてきて割と注目馬の動向を追えた。輝きを放ったのが栗毛のアーバンシック。最終追いは馬なりで出色の伸び。気配の良さを確認できた。
トライアルのセントライト記念を制し、中団から決め手を発揮する勝ちパターンを確立できていた。6走して5走で上がり3位以内。あの出来なら不発はない。枠も外過ぎず、悪くないところ。◎はこの馬。あとは相手の取捨選択だけだ。
ボートレースの予想はエンジン勝率やコース別成績などのデータを重視した。競馬は競馬でJRA70周年の歴史で蓄積された膨大なデータの中から“都合のいいもの”をいいとこ取り(笑い)。独自の予想理論をぶち込んでいくのが醍醐味(だいごみ)だろう。1番人気のダービー馬ダノンデサイルの評価を落としたのはそこ。エピファネイア産駒は芝3000メートル以上のレースで好走しても勝ったことがなかった。一方、アーバンシックの鞍上クリストフ・ルメールは過去10年で菊花賞3勝。連対率62%、複勝率75%のハイアベレージ。頼もしい以外の何ものでもなかった。
レースは終始、安心して見ていられた。「最も強い馬が勝つ」とされる菊花賞。結果論だが、1着アーバンシック、2着ヘデントール、3着アドマイヤテラの3頭とも前走でルメールが騎乗して1着。そのルメールが選んだ馬なのだから、そういうことなのだろう。それにしても恐れ入ったのはユタカ・タケ。7番人気アドマイヤテラを3着に持ってきた。「長距離は騎手で買え」という格言があるが、歴代最多菊5勝はダテじゃない。覚えておこう。
先週土曜(19日)付紙面で掲載した私のプロフィル。芸能担当時代にNHK紅白歌合戦で演歌歌手の北島三郎を取材したことに触れた。その意図は?セントライト記念1着から菊花賞を制した馬は15年キタサンブラック以来、現れなかった。◎にはそのジンクスを破り、偉大な馬へと駆け上がってほしいという思いを暗に伝えたかった…かどうかはご想像にお任せします。 (出田 竜祐)